ユーロはどのような歴史を辿ってきたのですか?


ユーロとは

ユーロは、欧州連合における経済通貨同盟加盟国で採用されている統一通貨です。今では当たり前のように使われている通貨ですが、非常に長い議論と交渉の末に実現したものです。

ここでは、欧州統一通貨のユーロの歴史を整理しています。1969年の欧州共同体会合から記載していますが、それ以前から欧州統一通貨というアイデアは存在していました。1969年以前の単一通貨構想については、欧州連合のHP(EMU Historical Documentation)でご確認下さい。また、2009年以降の欧州債務問題については「欧州債務問題」をご覧ください。

 

ユーロの歴史

 
1969/12/1-2 欧州共同体(EC)の首脳がハーグで会合を開き、単一市場の完成、統合の一層の推進、EC拡大を討議。1980年までに経済通貨同盟(EMU:Economic and Monetary Union)へ段階的に進むこと、統合と政治分野での協力の加速で合意。
1970/10/20 ルクセンブルグ首相Pierre Werner(ピエール・ウェルナー)の名を取ってウェルナー・プランと名付けられた経済通貨同盟を段階的に達成するというプランがEC理事会とEC委員会に提出される。
1972/4/24 加盟国通貨間の交換レートの変動幅を2.25%以内とする通貨の「トンネルの中のスネークSnake in the Tunnel)」制度開始。
1973/3/11 アイルランド、イタリア、英国が通貨「スネーク」制度を離脱。蔵相会議、固定交換レートによる対ドル共同変動相場制を決定。
1978/7/6 ブレーメン欧州理事会、欧州通貨制度(EMS:European Monetary System)と欧州通貨単位(ECU:European Currency Unit)を設置する計画を承認。
1979/3/13 EMS発足。
1989/6/26 マドリード欧州理事会、ドロール委員長の下、中央銀行総裁がまとめた、三段階を踏んでEMUを創設するという「ドロール・レポート」に沿って政府間会議を開催することで合意。
ドロール・レポート(欧州委員会)
1989/6/29 スペイン、EMSに参加。
1990/6/25 ダブリン欧州理事会、EMUに関する政府間会議および政治同盟に関する政府間会議の開催で合意。
1990/7/1 経済通貨同盟(EMU)の第一段階開始。EU加盟国における資本の移動が完全に自由化(一時的な適用除外が認められた地域を除く)。
1990/10/20 英国、EMSに参加。
1991/12/9 マーストリヒト欧州理事会、欧州連合条約草案に合意。
1992/2/7 欧州連合の創設を定めた欧州連合条約(マーストリヒト条約)調印。
1992/4/5 ポルトガルのエスクード、EMSに参加。
1992/6/2 デンマーク、国民投票の結果50.7%の反対により欧州連合条約批准を否決。
1992/9/15 ジョージ・ソロスなどヘッジファンドを中心としたポンド売りにより、ポンドがERM変動幅を一時的に超える。いわゆるポンド危機。
1992/9/16 イングランド銀行がポンド買いの市場介入。また、公定歩合を10%から12%に引き上げ、さらに翌日17日から15%に引き上ると発表したが、ポンド安は止まらず。いわゆるブラック・ウェンズデー。
1992/9/17 イギリスポンドは正式にERMを脱退し、変動相場制へ移行。
1992/9/20 フランス、国民投票の結果51.05%の賛成で欧州連合条約批准を決定。
1993/1/1 「4つの自由」すなわち人、物、サービス、資本の自由な移動を定めた単一市場始動。
→The EU Single Market
1993/5/1 デンマーク、2度目の国民投票の結果56.8%の賛成で欧州連合条約批准を決定。
1993/8/2 EMS内の相場の大幅変動を受け、経済相・蔵相理事会は欧州為替相場メカニズム(ERM:European Exchange Rate Mechanism)の変動幅を一時的に2.25%から15%に拡大。
1993/11/1 ECUバスケットの構成が凍結される。マーストリヒトで調印された欧州連合条約(マーストリヒト条約)が発効し、欧州連合(EU:The European Union)創設。
1994/1/1 EMU第二段階スタート。欧州中央銀行の準備機関として欧州通貨機関(EMI:European Monetary Institute)がフランクフルトに設立される。欧州レベルで経済政策を調整するための手続きが強化される。加盟国が「過剰な財政赤字」の撲滅と経済収斂の実現に取り組む。欧州通貨機関は、1998年6月1日のECBの業務開始によって解散した。
1995/1/9 オーストリア、EMSに参加。
1995/5/31 欧州委員会が単一通貨に関するグリーン・ペーパー(単一通貨への移行についての参考シナリオ)を採択。→EUグリーン・ペーパー
1995/6/25 カンヌ欧州理事会、マーストリヒト条約を見直す1996年政府間会議に備え、準備検討グループを任命。
1995/12/15-16 マドリード欧州理事会開催。単一通貨の名称として「ユーロ」が採択される。
ユーロ導入に関する技術的なシナリオと1999年に単一通貨へ切り替えるためのスケジュールを最終決定。
1996/3/29 マーストリヒト条約を改正する政府間会議がトリノで正式に開幕。
1996/10/14 フィンランド、EMSに参加。
1996/11/24 イタリア、EMSの為替相場メカニズムに復帰。
1996/12/13 ダブリン欧州理事会、経済通貨同盟(EMU)のための安定成長協定に合意、ユーロ紙幣のデザインが一般公開される。
1997/6/16-17 アムステルダム欧州理事会開催。ユーロ使用の法的枠組み、安定成長協定、欧州通貨制度(EMS)の後を引き継ぐ制度に関して最終的な合意。ユーロ硬貨のデザイン公表。
1998/5/1-3 EU理事会、元首・首脳レベルでの会合で1999年1月1日に始まるEMU第三段階に11カ国が参加することを決定。欧州中央銀行(ECB:European Central Bank)初代総裁にウィム・ダウゼンベルヒ欧州通貨機構総裁が指名される。
1998/6/1 ECB、フランクフルトで業務開始。
1999/1/1より前に…… ECBおよび欧州中央銀行制度(ESCB:European System of Central Banks)の最終準備。理事会が、資本金払い込みの方法、統計データの収集、最低準備金、ECBの協議、事業に対して科すことのできる罰金と罰則に関する規則を採択する。ECBおよびESCBの事業開始準備−−ECBの設立、規制の枠組みの採択、金融政策枠組みのテスト、など。
1999/1/1 EMU第三段階がスタート。EU加盟国のうち11カ国でユーロ導入(ベルギー、ドイツ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド)。理事会が、通貨統合への参加国通貨の対ユーロおよび相互の交換レートを永久的に固定。ユーロ自体が通貨となり、それに伴ってECUの公式の通貨バスケットが消滅。ユーロ導入の法的枠組みを設定する理事会規則が発効。
1999/1/1以降 ESCB、ユーロによる単一通貨政策を策定・実施し、ユーロでの外国為替オペレーションを実施。加盟国は新規の国債をユーロ建てで発行。
1999/1/1から2002/1/1 ESCBは、固定交換レートにより平価で通貨を交換。
2001/1/1 ギリシャがユーロを導入(12番目のユーロ参加国)。
2002/1/1 ユーロ紙幣の流通開始。ESCBはユーロ紙幣の市中への流通を開始し、各国通貨の紙幣の回収を始める。加盟国はユーロ硬貨の市中への流通を開始し、各国通貨の硬貨の回収を始める。
2002/2/28 各国通貨とユーロの併用期間が終了。
2002/3/1から ユーロ、ユーロ圏12カ国の唯一の法定通貨となる。
2004/6/28 2004年5月に加盟した新規加盟国10カ国のうちエストニア、リトアニアおよびスロヴェニアがERM IIに参加。→ERM IIとは?(欧州委員会)
2005/5/2 ラトビア、キプロスおよびマルタがERM IIに参加。
2006/5/16 欧州委員会、2007年1月からスロヴェニアがユーロを導入することを提案。
2006/7/11 EU理事会、2007年1月1日からのスロヴェニアのユーロ圏参加を承認する決定を採択。
2007/1/1 スロヴェニアがユーロを導入(13番目のユーロ参加国)。
2008/1/1 キプロスとマルタがユーロを導入(14、15番目のユーロ参加国)。
2009/1/1 スロヴァキアがユーロを導入(16番目のユーロ参加国)。
2011/1/1 エストニアがユーロを導入(17番目のユーロ参加国)。
2014/1/1 ラトビアがユーロを導入、18番目のユーロ参加国となる。
2015/1/1 リトアニアがユーロを導入、19番目のユーロ参加国となる。

 

【参考資料】

  • European Union EMU : A Historical Documentation
  • 欧州連合:ユーロへの道
  • 欧州連合:欧州統合の主な出来事:
  • Bank of England:Monetary Policy Committee Decisions
  • European Commission : The Euro