優先出資証券とは?


優先出資証券とは

優先出資証券は、共同組織金融機関の優先出資に関する法律に基づき発行されるものと資産の流動化に関する法律に基づき発行されるものがあり、いずれも金融商品取引法に定められた有価証券です。

債券と普通株の中間の性質を持っており、ハイブリッド証券を投資対象とする投資信託の多くが投資対象としています。

 

共同組織金融機関の優先出資に関する法律

共同組織金融機関の優先出資に関する法律とは、協同組織金融機関について、自己資本の充実に資するため、普通出資を補完するものとして優先出資を発行できる制度を設けるとともに、優先出資者の権利の保護について定めることにより、協同組織金融機関の経営の健全性の確保を図ることを目的とする法律で、ここでいう共同組織金融機関とは農林中央金庫、全国信用協同組合連合会、信用金庫及び信用金庫連合会、労働金庫及び労働金庫連合会、農業協同組合及び農業協同組合連合会、漁業協同組合などを指します。

共同組織金融機関の優先出資に関する法律に基づいて発行された優先出資証券の出資者(優先出資者)については、普通出資者に対する剰余金の配当に先立って、あらかじめ定められた額の配当が優先的に行なわれ(第19条)、また、残余財産の分配において、普通出資者に優先して、額面金額について分配を受ける権利があります(第20条)。ただし、普通出資者総会での議決権は与えられません。ここでいう普通出資者とは、農林中央金庫の会員及び連合会等の会員又は組合員のことです。

 

資産の流動化に関する法律

また、資産の流動化に関する法律は、特定目的会社(SPC)又は特定目的信託を用いて資産の流動化を行う制度を確立し、これらを用いた資産の流動化が適正に行われることを確保するとともに、資産の流動化の一環として発行される各種の証券の購入者等の保護を図ることにより、一般投資者による投資を容易にし、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする法律です。多くの大手金融機関が海外にSPCを設立して優先出資証券を発行し、国内の証券会社を通じて、主に機関投資家に販売されています。

資産の流動化に関する法律に基づいて発行された優先出資証券の出資者については、「特定目的会社の利益の配当又は残余財産の分配を特定出資を有する者(特定社員)に先立って受ける権利」がある、つまり優先されるということです。ここでいう特定出資とは、特定目的会社の設立に際して発行されたものへの出資のことで、特定社員とは特別目的会社の発起人のことです。

 

自己資本比率と優先出資証券

優先出資証券は、バーゼル銀行監督委員会の定めた金融機関に対する自己資本比率(BIS規制)の算定において基本項目(Tier Ⅰ:業務継続ベースの自己資本)(2012年7月末現在)に算入されるため、多くの大手金融機関が自己資本の充実のために発行してきました。ただし、2018年以降に導入が予定されている最新の自己資本規制(バーゼルⅢ)においては、優先出資証券は補完的項目(Tier Ⅱ:破綻時を想定した自己資本)となる見通しです。

投資家の立場から見ると、優先出資証券は、通常は残余財産分配請求権について、一般債権者より劣後し、普通株より優先されます。一般的には、議決権は与えらません。また、配当率はあらかじめ定められており、償還期限については定めがないものが多く、その場合は繰上償還条項(コール)が付されていて、発行会社が任意に償還できるようになっています。このため、配当率は普通社債より高く設定されており、信用力の高い金融機関の発行する優先出資証券は、投資信託にとっては相対的に高い配当収入を獲得できる投資対象としてとらえられています。

 

優先出資証券を投資対象とするファンド例:

  • グローバル・ハイブリッド証券ファンド(為替ヘッジ型)
  • グローバル・ハイブリッド証券ファンド(為替ノーヘッジ型)
  • 東京海上Roggeニッポン海外債券ファンド(為替ヘッジあり)