米国モーニングスター、「グローバル・フロー・レポート2013」を発表


大手投資調査会社の米国モーニングスター(Morningstar, Inc. NASDAQ: MORN)は、投資信託の資金動向についての第2回年次調査レポート『グローバル・フロー・レポート 2013』を発表した。同レポートは、2013年の投資信託上場投資信託(ETF)の資金動向を集計したもので、調査対象は世界の主要なマーケットである5ヵ国(オーストラリア、カナダ、ヨーロッパ、日本、米国)である。また、モーニングスターが保有するファンドの運用および資産状況のデータに基づき、他の地域も含めたグローバルな資金動向の概観も記載している。

モーニングスターの運用会社リサーチ部門のアナリスト、マイケル・ローソン氏は、「資金流入と残高の伸張もさることながら、その投資先の転換が2013年の注目点である」と話している。「2013年は、投資家が自信を回復したことによって、資産運用業界は預り資産残高の記録を更新した。投資家の資金が流入したこと、先進国の株式市場が好調なリターンを上げる環境などを追い風に、長期投資ファンド(MMFなどの短期資金投資信託以外の投資信託)の純資産額は23兆ドルとなった。これは2012年を3兆ドル上回り、2008年の業界残高が最低だった時期の2倍以上の額に達したことになる。2013年の9,760億ドルという資金流入は、額としては2009年の記録を若干上回ったにすぎないが、その内容は大きく異なっている。投資家の資金は過去5年間資金を集め続けた債券への投資から、株式への投資へと大きく舵を切った」

世界の投信資金動向、その他のハイライト

  • バンガード社は2013年も昨年に続き資金流入の王座についた。同社は1,430億ドルの資金流入を得て、長期投信およびETFの運用総額は2.3兆ドルとなった。対照的に資金流出に見舞われたのは債券投資の雄であるPIMCO社で、同社は、運用資産(投資信託およびETF)の88%が債券への投資であることが裏目に出た。長期にわたる債券ファンドの人気によって続いていた資金流入は、投資家の金利上昇懸念によって一転、290億ドルの資金流出となった。全体でみると債券ファンドへの資金流入は2013年は1,340億ドルに留まり、2012年の6,020億ドルから大幅な減少となった。
  • 株式ファンドは5,670億ドルの資金流入、前年比6%の増加となったが、これはモーニングスターが2007年にグローバルなデータを観測し始めて以来最大の増加率であった。アセットアロケーションファンド(資産分散型ファンド)も2,200億ドルと大きな資金流入があり、特にヨーロッパおよびクロスボーダーのファンドでは2桁の増加率となった。オルタナティブファンドは970億ドルと、2012年の2倍以上の資金を集め、その増加率は米国、アジア、クロスボーダーファンドでは30%以上となった。
  • 株式ファンドの中でも、2013年はパッシブ運用のファンド(インデックスファンド)のシェアが伸びた。パッシブファンドへの投資資金のシフトの主因としては、投資コストがリターンに与える影響について意識する投資家が増加していることが挙げられる。もう一つの成長要因として、米国で普及している資産運用アドバイザーの役割を挙げられよう。米国においては多くのアドバイザーが顧客へのアドバイスとしてETFの活用を勧めているからであるが、ヨーロッパにおいては(日本も同じく)ETFのそのような経路による拡大は見られない。
  • 2013年、世界では11,000本、6,050億ドルに達する新ファンドがスタートした(オープン・エンド・ファンド。先行ファンドの新シェアクラス設定を含む)。各国のファンドが籍を置くルクセンブルグでは、2013年の新規ファンド896本の純資産総額は年末時点で計1,190億ドルだった。一方、2013年にルクセンブルグで解散(償還)または併合されたファンドは570億ドル、3,256本にのぼった。

モーニングスターの調査報告は、各主要マーケットごとにファンドの大分類、モーニングスター分類、運用会社、個別ファンド、レーティングなどの分析を行っている。当調査の基となるモーニングスターのデータは、世界74の国籍にまたがる2,400社以上の運用会社が運用する56,000以上のポートフォリオ、174,000以上のシェアクラスについての報告に基づいている。また、モーニングスターは各ファンドについて純資産額とパフォーマンスの変動に基いて、独自に資金の流出入を推計しており、当調査ではその推計値を用いている(日本とオーストラリアは、実額の発表があるため実額を使用)。

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