投資信託の販売会社の評価の「見える化」とKPIとは


投資信託の販売会社の評価の「見える化」とは

投資信託販売会社の評価の「見える化」とは、投資家が銀行や証券会社などの投資信託の販売会社を容易に比較できるように、共通指標を用いて投資信託の販売会社の評価を分かりやすく示す=「見える化」するというものです。

これは、金融庁が投資信託の販売会社に対して公表を求めたもので、「見える化」という言葉も金融庁が「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」の中で使用した言葉です。金融庁は、投資家が長期的にリスクや手数料に見合ったリターンをどの程度得ているかを、全ての販売会社が同じ条件で算出された共通指標を用いて、同じ様式で公表することを求めています。

金融庁が「見える化」のための共通指標(KPI=Key Performance Indicator=重要業績評価指標)として、その算出方法などを公表し、販売会社に対して算出・公表を求めている指標は次の3つです。

 

  1. 運用損益別顧客比率
  2. 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン
  3. 投資信託預り残高上位20銘柄のリスク・リターン

 

背景

金融庁は、投資信託の販売会社を含む金融事業者が顧客本位の業務運営を行うことが重要であると考え、2017年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定・公表しました。これを受け、多くの金融機関がこの原則を採択し、取組方針を策定し、ホームページなどで公表しました。一部の金融機関では、顧客本位の業務運営を行っているかどうかを客観的に評価できるようにするための成果指標(KPI)も公表しました。

しかし、各金融機関が各々異なるKPIを策定しているため、投資家にとっては比較が困難な状況にあり、より容易に投資信託の販売会社を比較できるようにするために、金融庁が2018年6月29日にこれら3つの指標を共通KPIとして公表しました。

 

3つの共通指標について

1. 運用損益別顧客比率

販売会社がどれくらいのリターンを個々の顧客に提供しているかを示す数値です。投資信託を保有している顧客並びにファンドラップを利用している顧客の基準日時点の手数料控除後の運用成績別の顧客の割合として示されます。

対象となる顧客全体を100%として、それぞれの運用損益に該当する顧客数比率の棒グラフを公表します。運用損益の区分は+50%以上、+30%以上+50%未満、+10%以上+30%未満、0%以上、+10%未満、−10%以上0%、−30%以上−10%未満、−50%以上−30%未満、−50%未満の8段階で表示されます。

(出所:金融庁:投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIの定義)

金融庁が実施した調査では、2018年3月末時点において、主要行等9行と地域銀行20行合算ベースでは、半数強の顧客の運用損益率がプラスだったものの、35%の顧客が−10%以上0%未満と、半数弱の顧客の運用損益率はマイナスでした。

 

何がわかるのか

個々の顧客が保有している投資信託について、購入時以降どれくらいのリターンが生じているか。その販売会社で投資信託を購入した人の中で利益が出ている人と損を出している人の割合。

 

2.投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン

これは、各販売会社における預り残高上位20銘柄(設定後5年以上経過しているファンドのみを対象)のコスト(基準日時点の消費税込みの販売手数料率の1/5と消費税込みの信託報酬率の合計)とリターンです。販売手数料率については、最低販売金額での手数料率、信託報酬率は、実質的な信託報酬率の上限を使って算出します。リターンについては、過去5年間のトータルリターンを年率換算したものです。

具体的には、預り残高上位20位銘柄のコストを横軸にとり、リターンを縦軸にとった散布図と、残高上位20位銘柄の名称を公表することになります。

(出所:金融庁:投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIの定義)

 

何がわかるのか

コストに見合ったリターンを得られているかどうかを見て取ることができます。また、他の販売会社の同じ散布図と比較することも容易に可能となります。金融庁では、「中長期的に、金融事業者がどのようなリターン実績を持つ商品を顧客に多く提供してきたかを見ることができる」としています。

 

3. 投資信託預り残高上位20銘柄のリスク・リターン

各販売会社における預り残高上位20銘柄(設定後5年以上経過しているファンドのみを対象)のリスクとリターンです。リスクについては過去5年間の月次リターンの標準偏差(年率換算)、リターンは過去5年間のトータルリターン(年率換算)です。

具体的には、預り残高上位20位銘柄について、リスクを横軸にリターンを縦軸にとった散布図と、残高上位20位銘柄の名称を公表することになります。

(出所:金融庁:投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIの定義)

 

何がわかるのか

これにより顧客がリスクに見合ったリターンを得ることができているかを見て取ることができます。また、他の販売会社の同じ散布図と比較することも容易に可能となります。2.と同様に、金融庁では「中長期的に、金融事業者がどのようなリターン実績を持つ商品を顧客に多く提供してきたかを見ることができる」としています。

 

金融庁では、これらの指標について各社が自主的に数値を公表することを期待しており、今後、各販売会社がどうするのかその対応が注目されています。