毎月分配型ファンドでは、必ず毎月、分配金を受け取ることができますか。


毎月分配型は、本当に毎月分配を実施するのか

毎月分配型の投資信託とは、1ヵ月ごとに決算を行い、収益の一部を分配金として毎月投資家に分配する仕組みの投資信託です。

この毎月分配型ファンドの人気が根強いようですが、毎月分配型ファンドでは、必ず毎月、分配金を受け取ることができるのでしょうか。

実は、そうとは限りません。毎月分配型ファンドは、運用が想定通りにゆけば、毎月分配金を支払う予定のファンドであって、毎月分配金を支払うことを保証しているわけではありません。各ファンドの説明書にも「原則として、毎月、収益分配を行なうことをめざします」とは書かれていますが、毎月、必ず、収益分配を行なう、とは記載されていません。

 

毎月分配が実行されなかったファンドの例

例えば、毎月分配型ファンドの2020年1月の分配実施状況を見ると、次のテーブルの9本の毎月分配型ファンドは分配を行ないませんでした。2020年1月に分配が行なわれなかったファンドの投資対象を見ると、アジアや世界の不動産投資信託、新興国の株式、債券など、ファンドにより異なっており、特定の国や地域、あるいは資産に偏りは見られません。つまり、投資対象が何であれ、分配が想定通りに支払われないことがあると言えます。

【2020年1月に分配が実施されなかった毎月分配型ファンド】
運用会社 ファンド名 設定日 決算回次 決算日 分配金(円)
大和証券投資信託委託 グローバル・リートインデックスファンド(毎月決算型) 2019.10.31 3 2020.1.14 0.00
明治安田アセットマネジメント オーストラリア好利回りバランス・ファンド(毎月決算型) 2017.8.10 28 2020.1.7 0.00
ニッセイアセットマネジメント ニッセイアジアリートファンド(毎月決算型) 2014.5.20 68 2020.1.27 0.00
ニッセイアセットマネジメント ニッセイアジアリートファンド(毎月決算型)限定為替ヘッジあり 2014.5.20 68 2020.1.27 0.00
アライアンス・バーンスタイン アライアンス・バーンスタイン・新興国成長株投信Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型 2014.8.28 65 2020.1.28 0.00
アライアンス・バーンスタイン アライアンス・バーンスタイン・新興国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 2014.8.28 65 2020.1.28 0.00
ピクテ投信投資顧問 ピクテ日本ナンバーワン・ファンド(毎月決算実績分配型) 2009.1.30 130 2020.1.20 0.00
ピクテ投信投資顧問 ピクテ中短期債券ファンド(毎月決算型) 2017.7.24 29 2020.1.27 0.00
ピクテ投信投資顧問 ピクテ・エコディスカバリー・アロケーション・ファンド(毎月決算型)為替ヘッジあり 2018.8.27 17 2020.1.27 0.00

(データ:投資信託協会契約型公募投資信託の収益分配状況」)

 

毎月分配型だけではない

しかし、このような状況は毎月分配型に限ったことではありません。分配頻度が年1回、年2回のファンドでも同じことです。実際に2020年1月に決算を迎えた追加型株式投資信託1927本(毎月分配型を含む)のうち318本のファンドでは、分配金は支払われませんでした。このうち9本は毎月分配型ですが、残りの309本は、分配頻度が年1回から年6回までのファンドです。

毎月分配型のファンドの投資家は、高齢者が多いと言われており、年金のように生活費に毎月分配型ファンドからの分配を充てているという話も聞かれます。毎月分配型ファンドを購入する際には、本当に毎月分配が実施されてきているのか、どういう経済、金融市場の状態において分配が見送られてきたのかを確認し、分配が行なわれないリスクも考慮しておきましょう。また、毎月分配型ではないファンドについても、分配を重視しているのであれば、分配履歴を確認しておきましょう。

更に、分配は行なわれていても、一部のファンドでは、短期的に人気を集めるためにかなり無理に分配金を払い続け、結果元本部分が減ってしまっていることがあります。こういった運用方法を証券業界では「タコハイ」と呼んでいます。タコは、エサに困ると自分の脚を食べるといわれ、ファンドにおいて、分配原資が足りなくなり、元本から分配を支払っているファンドのことをそう呼びます。分配履歴と元本状況の両者の動向は目論見書運用報告書で確認できます。