重要情報シートとは、金融機関が提供する金融商品やサービスに関する重要な情報を簡潔に記載したシートのことです。顧客にわかりやすい情報を提供することや異なる商品やサービスの比較を容易にすることを目的としています。
金融庁は金融機関に対して「顧客本位の業務運営」を行うことを求めており、「顧客本位の業務運営に関する原則」を2017年3月に策定しました(2021年1月に改訂)。ほとんどの金融機関はこれを採択しています。この原則の一つに「重要な情報の分かりやすい提供」(原則5)が含まれており、重要情報シートはこれを実行する一つの手段であると捉えられています。
金融市場ワーキング・グループが作成した重要情報シート例によると、重要情報シートには、①金融商品・サービスを提供する「金融事業者」についてのものと②「個別の商品・サービス」についてのものが作成されることになっています。投資信託については、販売業者・仲介業者が重要情報シートを作成・提供します。
金融事業者に関する重要情報シート
金融商品・サービスを提供する金融事業者についての重要情報シートには、次のような内容が記載されます。
- 会社の基本情報
- 社名
- 登録番号
- 加入協会
- ホームページアドレス
- 取扱商品・・・会社が顧客に提供している商品(預金、株式、保険、投資信託などの一覧表)
- 商品ラインナップの考え方
顧客に提供している商品選定の考え方や留意点などの説明。
- 苦情・相談窓口
当該事業者の顧客相談窓口や加入協会共通の相談窓口、金融庁の金融サービス利用者相談室の電話番号など。
金融市場ワーキング・グループが作成した重要情報シート例
投資信託を含む個別商品・サービスについての重要情報シート
金融事業者が提供する個別商品・サービスについての重要情報シートには、次のような内容が記載されます。
- 商品の内容
- 金融商品の名称・種類
- 組成会社(運用会社)
- 販売委託元
- 金融商品の目的・機能
- 商品組成に携わる事業者が想定する購入層
- パッケージ化の有無
- クーリング・オフの有無
- リスクと運用実績
- 損失が生じるリスクの内容
- 運用実績(過去1年間・5年間など)
- 費用
- 購入時に支払う手数料
- 継続中に支払う手数料
- 運用成果に応じた手数料
- 換金・解約の条件
- 償還期限
- 解約手数料について
- 解約ができないケースについての説明
- 事業者と顧客の利益相反について
- 想定される利益相反のケース(手数料、利害関係人、営業担当者の報酬体系など)についての説明
2021年12月末現在、セゾン投信株式会社、レオス・キャピタルワークス、コモンズ投信などの直販を行っている運用会社では重要情報シートの提供をホームページ上で行っています。また、証券会社など複数の販売会社においても提供が開始されています。