投資者保護基金とは?


投資者保護基金とは

投資者保護基金は、投資者保護を目的とした機関で、金融商品取引法の規定により設立されました。基金の会員である金融商品取引業者の経営が破綻した場合に、基金の会員会社が顧客から預かっていた有価証券・金銭の返還が困難な場合に、基金が顧客に対し、金銭による補償を行ないます。

ただし、補償の上限額は、法令により、顧客1人につき、1,000万円(2022年12月末現在)と定められています。また、証券価格の下落等による損失は、補償の対象となりません。2022年12月末現在、法律に基づき設立された投資者保護基金は、日本投資者保護基金のみです。有価証券関連業を行なう第一種金融商品取引業者(証券会社)には投資者保護基金への加入が義務付けられています。

なお、銀行などの証券会社以外の金融機関は、日本投資者保護基金の会員ではありません。そのため、銀行などで購入された投資信託は日本投資者保護基金の補償対象にはなりません。ただし、銀行などでご購入した投資信託でも分別管理は義務付けられていますので、銀行等が破綻した場合でも、分別管理により投資家の資産は守られています。

日本投資者保護基金

 

投資者保護基金の定義

金融商品取引法では、投資者保護基金を次のように定めています。

【第七十九条の二十一】

投資者保護基金(以下この章及び附則において「基金」という。)は、第七十九条の五十六第一項の規定による一般顧客に対する支払その他の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もつて証券取引に対する信頼性を維持することを目的とする。

【第七十九条の五十六】

基金は、認定金融商品取引業者の一般顧客の請求に基づいて、前条第一項の規定により公告した日において現に当該一般顧客が当該認定金融商品取引業者に対して有する債権(当該一般顧客の顧客資産に係るものに限る。)であつて基金が政令で定めるところにより当該認定金融商品取引業者による円滑な弁済が困難であると認めるもの(以下「補償対象債権」という。)につき、内閣府令・財務省令で定めるところにより算出した金額の支払を行うものとする。

 

投資者保護基金の変遷

基金は1998年に証券取引法(現、金融商品取引法)の基に設立され、当時は国内系の証券会社が加入する日本投資者保護基金と外資系証券会社が加入する証券投資者保護基金の二つがありましたが、2002年7月に日本投資者保護基金に統合されました。2022年3月末日現在、268社が加入しており、基金規模は約584億円となっています。

 

過去の補償実績

2000年に経営破綻した南証券(本社、群馬県)の顧客保護のために、総額約35億円の補償が行なわれました。また、2012年3月13日に金融庁から登録抹消処分を受け、翌14日に東京地方裁判所に対して破産手続開始の申し立てた丸大証券についても、顧客資産の返還が困難であると認定され、日本投資者保護基金が補償を行なっています。