不動産証券化協会、「機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」結果発表


一般社団法人不動産証券化協会は、第21回「機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」の集計結果を2022年4月24日に公表した。

同アンケート調査は、年金基金(原則、総資産額 140 億円以上)および生保・損保・信託銀行・銀行等の機関投資家(以下それぞれ「年金」、「一般機関投資家」と表記)を対象に、資産運用における不動産(不動産証券化商品を含む。以下同じ)への投資の実態と課題を把握することを目的として 2001 年度より毎年度同協会が実施しているもの。本年度は、年金 54、一般機関投資家 57 の計 111 件 の回答を得た(調査期間 2022 年1月 18 日~3月1日)。 (注)各年度の調査では、回答者の構成が異なっており、その差異が結果に影響を与えている可能性がある。

 

主な調査結果

  • 実物不動産あるいは不動産証券化商品への投資を行っている投資家の比率は、基金数(機関数)ベースで、年金では 69%(昨年度調査 72%)、一般機関投資家では 84%(同 89%)へと 減少したものの、高い水準を維持している。
  • 「投資済」とする投資対象は、年金では「私募リート」46%が大きく、「海外不動産プライベートファンド」37%、「国内不動産プライベートファンド」19%が続いた。一般機関投資家では、「Jリート」63%が大きく、「私募リート」57%、「不動産を裏付けとする債券」47%が続いた。
  • 「運用資産の資産配分における「不動産」の割合(実際の資産配分:単純平均) は、年金では 4.7%、一般機関投資家では 2.6%となり、昨年度と比べて年金、一般機関投資家ともに増加となった。
  • 「不動産投資を行うために必要なこと」については、年金では、「ベンチマークとなる不動産投資インデックス」が第 1 位(昨年度第 1 位)、「個別の不動産投資関連情報開示の向上」(昨年度第 3 位)、「不動産評価の信頼性の向上」(昨年度第 4 位)が同率で第 2 位となった。一般機関投資家では、「不動産投資関連情報の標準化」が第 1 位(昨年度第 3 位)、「不動産に精通した運用担当者(投資家サイド)の育成」が第 2 位(昨年度第 1 位)、「市場規模・投資 対象不動産の拡大」が第 3 位(昨年度第 2 位)となった。
  • インフラファンド投資(海外含む)については、年金で 34.0%、一般機関投資家では 21.6% が「投資済」であり、年金では昨年度を上回り、一般機関投資家では昨年度より下回ってい るものの、高い水準で推移している。
  • 不動産(ファンド)への ESG 投資について実施の有無を聞いたところ、実施していると回答した割合は、年金では 5.9%、一般機関投資家では 30.0%であった。投資を実施している理由としては、年金では「長期的な運用パフォーマンスが向上すると 考えるため」「運用パフォーマンスは関係なく、責任投資を行うのが妥当だと考えるため」が 66.7%と多かった。一般機関投資家では、「長期的な運用パフォーマンスが向上すると考えるため」が 60.0%、「運用パフォーマンスは関係なく、責任投資を行うのが妥当だと考えるた め」が 53.3%であった。投資を実施していない理由としては、「ESG 投資の認知が広がっておらず、説明責任を果たせないため」は、年金で 18.8%、一般機関投資家では 34.3%であった。「長期的な運用パフォーマンスが向上しない又は悪化すると考えるため」は、年金では 14.6%、一般機関投資家 では 25.7%であった。