フィデリティ投信、ESGやサステナブル投資に関する調査結果を発表


フィデリティ投信は、6月5日の世界環境デーを前に、ESGやサステナブル投資についての調査結果を発表した。同調査は、18歳~69歳までの男女約2,000人を対象に実施し、今年で3回目となる。

今回の調査では、サステナブル投資の認知度が男女ともはじめて過半数を超え、女性では昨年比で約2倍となり、急速な関心の高まりがみられた。また、解決すべき社会課題として、気候変動とサステナビリティ(持続可能性)が昨年に続き高い関心を集める一方で、30歳以下の若年層は環境問題よりも児童労働や強制労働の問題を挙げる人が多い結果となった。

調査結果に関し、フィデリティ投信のヘッド・オブ・エンゲージメント兼ポートフォリオ・マネージャーの井川智洋氏は次のようにコメントした。

世の中に良い影響を及ぼす手段として、サステナブル投資への期待が高まっており、若年層を中心に実際の投資行動にも変化の兆しが見えてきたことが今回の調査で分かりました。一方で、サステナブル投資を行うのは環境や社会への貢献のためで、企業による環境・社会課題解決に向けての取り組みが投資リターンにつながることを期待する人はまだ少ないことも結果から読み取れます。当社では対話(エンゲージメント)などを通じて、投資先企業の行動変化を促すことで企業価値向上に貢献し、中長期的なリターンの向上につながるよう取り組んでいます。

 

【調査結果抜粋】

社会課題の関心事は30歳以下では労働問題がトップ、それ以外の年代は気候変動

「改善したい社会課題」については、前回に続き、「気候変動」と「持続可能な生活/消費活動/行動」への関心が高くなったが、30歳以下では「労働問題(児童/強制/奴隷労働)」を挙げる人が最も多いことが分かった。また、「気候変動」と「持続可能な生活/消費活動/行動」、「D&I」の3つについては、女性が男性を上回る結果となった。

1.   改善したい、最も取り組みたいと考える社会課題は?(3つまで選択可)

改善したい、最も取り組みたいと考える社会課題

サステナブル投資の認知度は年々増加、特に女性は昨年比で約2倍に

サステナブル投資の認知度は加速度的に高まっており、過半数の人が「知っている・聞いたことがある」と回答した。また、「サステナブル投資は世界に良い変化をもたらすのに最も有望な方法」と考える人が40歳未満で約35%に達し、全体では男性(26%)よりも女性(29%)の方がそのように考える割合が多いことが分かった。「サステナブルやESG関連の金融商品に投資している(したことがある)」人はまだ少ないものの、40歳未満の2割以上が「来年投資することを検討している」結果になり、若年層を中心に徐々に投資行動にも広がりつつあることが分かった。

 

2.   「サステナブル(ESG)投資」という言葉を聞いたことがあるか?(単一回答)

「サステナブル(ESG)投資」という言葉を聞いたことがあるか

3.   サステナブル投資やサステナブルな企業への投資の可能性についてどう思うか?(複数回答)

サステナブル投資やサステナブルな企業への投資の可能性について

サステナブル投資の優先度はまだ低いまま

フィデリティ投信によると、サステナブル投資への関心の高まりは見られるが、実際に投資をする上では、「理解しやすいものに投資する」や「リスクを避けたい」などが上位となっており、「持続可能な世の中になるような商品への投資」の優先度はまだ高くない実態が示された。サステナブル投資をする理由としては、「今後話題となるテーマで大きな成長の可能性を秘めているから」と将来的なリターンを望む人が多い一方で、「環境や社会に貢献できるから」とリターンに関わらず地球環境改善に役立てたい人も多いことが分かった。

4.   サステナブル投資をする主な理由は?(複数回答)

サステナブル投資をする主な理由

5.   投資に関する考え方は?(複数回答)

投資に関する考え方

サステナブル投資に関する調査とは

18歳~69歳までの男女合わせて2,101人(女性1,050人、男性1,051人)を対象に、ESGやサステナブル投資に関する意識を調査。2022年12月22日~2023年1月10日にインターネットで実施。同様の調査を、フィデリティ・インターナショナルが拠点を持つ中国本土、香港、台湾、シンガポール、オーストラリアで計12,575人(日本を含む)にも実施。