トムソン・ロイター、多様性と受容性に富む世界の上位100社を発表


トムソン・ロイターは、ダイバーシティ&インクルージョン・インデックス(以下「D&I指数」)でランク付けされた、2018年の世界で最も多様性と受容性を備えた企業の上位100社を発表した。D&I指数は、世界の金融と事業会社のコミュニティーに向けたニュース、情報、分析の配信という、トムソン・ロイターのビジョンを示している。同指数のレーティングは、7000社余りの企業について、相対的なパフォーマンスを透明かつ客観的に測定し、異なる視点での見識を顧客の皆様に提供するためにデザインされたトムソン・ロイターのESG(「環境・社会・ガバナンス」)データによって提供されている。

今年は世界全体では新たに52社が上位100社に入った。17社は2年連続でランク入りし、12社が返り咲く結果となった。

アジア・太平洋地域(APAC)では、上位100社の中に19社が入った。このうち日本企業は4社で、オーストラリア企業と並ぶ最多となった。日本企業で最も上位だったのは24位の花王。このほか、三井物産が52位、ソニーが80位となったほか、東芝が88位で初めてランク入りした。

D&I指数は、Thomson Reuters Eikon(アイコン)から取得可能で、金融の専門家が長期的な投資機会とリスクのスクリーニングの目的に加えて、ジェンダーの視点から投資戦略を強化するための手助けとなる基礎的な多様性と受容性の指標として利用することができる。各企業には、「ダイバーシティ(多様性)」、「インクルージョン(受容性)」、「人材開発」、「メディアでの論争・物議(頻度)」のそれぞれの項目でスコアが割り当てられている。4項目にまたがってスコアを得た企業のみ総合スコア(各部門のスコアの平均)が割り当てられる。総合スコアが最も高い上位100社がインデックス構成銘柄に採用される。

トムソン・ロイター、ファイナンシャル・リスク部門のESGグローバル責任者、エレナ・フィリポバ氏は次のように述べている。

今年で3年目となるD&I指数は、多様性と受容性を企業戦略に組み込む方法で主導的な立場の企業に焦点を絞っています。金融業界は、多様性と受容性を備えた企業への投資の社会的およびビジネス上のメリットを認識し始めており、D&I指数に基づいた投資商品の開発に関心を寄せている多くの運用会社と緊密に協力しています。トムソン・ロイター、投資家の皆様のより賢明な投資判断を支援するために、業界をリードするESGデータを引き続き提供していく所存です。

独立系調査会社アイテグループのリサーチ・ディレクターであるヴァージニー・オシア氏は次のように語っている。

2018年において多様性のテーマは引き続き業界で注目を集めています。コーポレートガバナンスと透明性の向上を目指して企業が開示を充実させているだけでなく、規制当局も変革に踏み切っており、2019年にはこの目標に沿って欧州連合(EU)で第2次『株主権利指令』が導入される見通しです。投資家は、過去12カ月間にわたり加速させてきたESG戦略にこれらを組み込むために、多様性などのトピックに関連するより多くのデータを熱心に求めています。

コンサルティング会社アウトセルのバイスプレジデント兼主席アナリストのウィル・ジャン氏はこうコメントしています。

最近の調査によって、多様性と受容性が価値創造と収益性に相互に関係していることが判明しました。このように、金融サービスにはこれらの機会を投資家に知らせる義務があります。

金融テクノロジー調査・アドバイザリー会社セレントでキャピタルマーケット担当リサーチ・ディレクターを務めるブラッド・ベイリー氏は次のように述べている。

ESG投資は四半期ごとに成長しているため、ロングオンリーからクオンツタイプのファンドに至るすべてのタイプのポートフォリオ・マネージャーと投資家にとって、多様性への最も敏感なアプローチを有する企業にリソースを効果的に配分する明確な枠組みを確保することが重要です。

トムソン・ロイターで企業責任と受容性に関するグローバル責任者を務めるパッツィー・ドエルは次のように語っている。

トムソン・ロイターでは、社会全体への影響力に注力することが、長期的な財務面での成功を促進する基本だと理解しています。未来の人材を育成するということは、世界中のベスト・アンド・ブライテスト(最も優秀な)の人材を魅了する多様性のあるチームを構築することを意味します。D&I指数は、投資家やアナリストがこれを理解している企業を特定し、その企業のバリューと収益に合った投資判断を下すための手助けとなります。

2016年に始まったD&I指数は、「多様性」、「受容性」、「人材開発」、「メディアでの論争・物議(頻度)」の4つの基本項目における24の評価基準によって、職場での多様性と受容性が最も進んでいる世界の上場企業上位100社をランク付けしている。同指数は、それぞれの評価基準に対して、市場における重要度と各構成銘柄の同ピア内での比較によって加重されて算出される。

D&I指数に関する詳細→http://financial.thomsonreuters.com/en/products/data-analytics/market-data/indices/diversity-index.html

D&I指数における上位24社と得点(%):

1     アクセンチュア                 84.25
2     ノバルティス                 79.25
3     メドトロニック                 79.00
4     ディアジオ                   78.75
5     GAP                       78.50
6     テレコム・イタリア         77.75
7     ケリング                         77.50
8     ナチュラ・コスメティコス 77.25
8     ロレアル                         77.25
10    アクシオナ                         77.00
10    ブリストル・マイヤーズ・     77.00
スクイブ
12    UCB                         75.00
12    ロシュ・ホールディング 75.00
14    ウールワース・グループ 74.75
15    ネスレ                         74.50
16    マイクロソフト                 74.25
17    コルゲート・パルモリーブ 74.00
17    プロクター・アンド・           74.00
ギャンブル
17    イーライリリー                 74.00
20    HP                                 73.75
20    メルク                         73.75
22    ヘラ                                 73.50
23    モントリオール銀行         73.25
24    シーメンス                         73.00
24    花王                                 73.00
24  ウールワース・                    73.00
ホールディングス
24    センプラ・エナジー         73.00

D&I指数の上位100社→http://financial.thomsonreuters.com/content/dam/openweb/documents/pdf/financial/diversity-and-inclusion-top-100-companies.pdf