顧客第一主義の運用


2014年10月9日の日本経済新聞に金融庁長官横溝清史氏のインタビュー記事が掲載されていました。

記事の中で、運用会社に足りないものは何かという質問に対して、横溝長官は「今事務年度(2014年7月~15年6月)は広い意味で投資家の意向に沿った運用をしているか、「顧客第一主義(の達成度)をチェックする。この視点で運用していたかと聞かれれば、疑問に思う点がる」と答えています。

投資家からすれば、衝撃的な言葉です。顧客第一主義では運用されてこなかった、とも解釈できるからです。さらに記事には「同庁の調べでは、日本の銀行の売れ筋商品を2年おきに買い替えると10年で元本は割れる。一方、英米のバランス型投資信託なら年利10%超も利益を得ていた。金融機関は自身がもうかる商品を進め、顧客が儲かる商品を進めない。この販売姿勢に問題がある」とされています。

運用会社あるいは販売会社自身がもうかる商品とは具体的にはどういう商品を指しているのか、他にどんな点が顧客第一主義でないと金融庁は考えているのかについての説明はありませんでした。

投資家は、提供される目論見書やその他の資料を読み、販売会社から説明を受けることはできますが、それが公正に正しく記載されているのか、正しく説明されているのか、そして何よりもファンドが投資家にとって最適な方法で正しく運用されているのかについては、知るすべはありません。運用報告書に書かれている内容は、投資家のためのベスト・プラクティスが100%実行された結果だと信じるしかないわけです。そうでない部分があるのであれば、それは一刻も早く是正されるべきであり、投資家は今回の検査内容を知る権利があると思います。検査結果が公表されるのか不明ですが、是非、今回の運用会社の一斉点検の結果が速やかに公表されることを期待したいと思います。

なお、金融庁は、2014年9月に金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針を公表しており、その中で、投資運用業の監督上の評価項目と諸手続を公表しています。個人投資家にとっても、運用会社の仕事・業務内容・責任・役割等について知る上で役立つ情報でもあると考え、その中の投資信託委託業者に関する部分を次に示しています。

 

【金融庁 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針監督上の評価項目と諸手続】

 

VI-2-3 投資信託委託業等に係る業務の適切性

投資信託委託会社等(投資信託委託業等(金融商品取引業のうち、金商法第2条第8項第12号イに規定する契約に基づく同号に掲げる行為又は同項第14号に規定する行為(外国投資信託を国内から直接設定・指図する行為を除く。)を業として行うことをいう。)を行う者をいう。以下同じ。)の業務の適切性に関しては、以下の点に留意して検証することとする。

VI-2-3-1 業務執行態勢

(1)運用財産の運用・管理

家計におけるライフサイクルに応じた中長期の資産形成を後押しするとともに、家計の金融資産等が資本市場を通じて成長企業へ供給されるためには、これらを繋ぐ投資信託等が重要な役割を担うものと考えられる。よって、投資信託委託会社等は、顧客のニーズを踏まえて安定的な資産形成に資する商品の開発・提供を積極的に行っていくことが期待される。

このような点も踏まえつつ、投資信託委託会社等が運用財産の運用及びその管理を適切に行っているかどうかについて、以下のような点に留意して検証することとする。なお、以下の点については、その行う業務の内容、規模等を踏まえた上で総合的に判断する必要があり、評価項目の一部を充足していないことのみをもって、直ちに不適切とするものではない。

運用方針を決定する社内組織に関する事項(具体的な意思決定プロセスを含む。)が、適切に規定されているか。

運用部門における運用財産の運用方法が、具体的に定められているか。また、投資信託の運用体制の状況に関し、受益者等に対し、それぞれの投資信託の特性に応じて、例えば以下のような点について分かりやすい明示に努めているか。さらに、ファンド・オブ・ファンズ方式での運用を行う投資信託については、受益者等に対し投資先ファンドの概要(主な投資対象等)や投資先ファンドの運用管理費用を含めた実質的な負担率について分かりやすい明示に努めるとともに、販売する金融商品取引業者等に対して運用管理費用を説明するための情報を提供しているか。

イ.運用担当者に係る事項(運用責任者の運用経験年数・経歴等、運用チームの概要等)

ロ.運用基本方針を踏まえた具体的な運用に当たっての投資判断の決定プロセス

運用財産相互間又は運用財産と自己若しくは第三者の資産相互間における有価証券等の取引に関する管理態勢整備が適切に行われているか。

金商法第42条の3の規定により権利者のための運用を行う権限の全部又は一部を他の者に委託する場合(当該他の者が委託された権限の一部を再委託する場合を含む。)に、委託先の選定基準や事務連絡方法が適切に定められているか。また、委託先の業務遂行能力や、契約条項の遵守状況について継続的に確認できる体制が整備されているか。さらに、委託先の業務遂行能力に問題がある場合における対応策(業務の改善の指導、再委任の解消等)を明確に定めているか。

発注先や業務委託先等の選定に関し、当該者に係る取引執行能力、法令等遵守状況、信用リスク及び取引コスト等に関する事項が、勘案すべき事項として適切に定められているか。

投資判断に係るプロセスの適切性を含め、運用財産が投資信託約款、資産運用契約又は運用ガイドライン等に則り、適切に運用されているか(運用状況の記録を保存しているかを含む。)どうかについて、運用部門から独立した部門により定期的な検証が行われる体制が整備されているか。

MRF(投信法施行規則第25条第2号に規定する公社債投資信託をいう。以下において同じ。)については、保有債券の突発的な価値の下落等により基準価額が1口1円を割り込むことで個人投資家の証券取引等に支障が生じることを回避するため、元本に生じた損失の全部又は一部を補することが例外的に認められるが(金商法第42条の2第6号、金商業等府令第129条の2)、これによりMRFの安定運用や投資信託委託会社等の健全性を害する事態とならないよう、MRFの運用に当たっては、投資信託協会自主規制規則「MMF等の運営に関する規則」に定めるMRFの安定運用のための投資制限を遵守しているか。

(2)取引の執行

投資信託委託会社等は、取引の執行に当たり、取引価格、その他執行コストを総合的に勘案して、最も権利者の利益に資する取引形態を選択することが求められている。金融技術の発達により取引形態の多様化が進んでいる現状にかんがみ、投資信託委託会社等の取引の執行状況について、例えば、以下のような点に留意して検証することとする。

平均単価による取引(約定日・受渡日が同一の取引につき、銘柄ごと・売買別に、単価の異なる複数の約定を合算し、平均単価を単価とする取引をいう。)

イ. 部門の分離

投資判断を行う部門と、注文を発注する部門は分離されているか。組織的な分離が困難な場合、少なくとも両者の役割を担当者レベルで分離しているか。

ロ. 取引の検証

管理部門等が、平均単価による取引に係る一連の業務プロセス等について、適切に検証できる態勢となっているか。

ハ. 権利者への開示及び権利者の同意(投資法人との資産運用契約に係る場合に限る。)

権利者への事前開示及び権利者の同意の下、平均単価による取引を行っているか。また、複数の運用財産に係る約定配分を伴う発注を行う場合には、権利者に対して、内出来時の配分基準について適切に説明しているか。

一括発注による取引

複数の運用財産について、銘柄、売買の別を同一にする注文を一括して発注し、その約定内容を銘柄ごと・売買別に合算した後に、投資信託委託会社等が予め定めた配分基準により、各運用財産への約定配分を行う場合には、運用財産間の公平性を確保する観点から、上記に準じた体制整備等が行われているか。

運用財産相互間における取引

運用財産相互間取引は、一方のファンドの投資者に不利益となるおそれがあり、ファンド間の利益の付け替えといった投資者保護上問題がある行為にも用いられ得ることから、原則として禁止されている。

他方、金商業等府令第129条第1項第1号に規定する取引については、運用財産相互間取引の禁止の適用除外が認められているところ、運用財産相互間取引を行うに当たっては、管理部門等が同号イ及びロに掲げる要件の全てを満たしていることを適切に検証できる態勢が求められる。

金商業等府令第129条第1項第1号イ(4)に規定する「必要かつ合理的と認められる場合」とは、投資信託委託会社等が運用財産相互間取引を行う場合に、顧客間における公平性の確保及び顧客に対する最良執行義務又は忠実義務上の要請が満たされている場合をいうところ、運用財産相互間取引を行う両ファンドそれぞれにおける当該「売り」又は「買い」の投資判断に必要性・合理性があり、かつ、当該投資判断に基づく最良執行のために運用財産相互間取引が行われる(又は最良執行のために行った取引が結果的に運用財産相互間で対当する)場合は、これに該当する。

投資判断の必要性・合理性の有無の判断に当たっては、各ファンドの投資方針・投資計画(投資信託委託会社等がリスク管理等の観点から社内で設定している投資制限を含む)、ファンドの解約・設定に伴う資金の流出入(各ファンドのポートフォリオ維持のために売買を行う必要性等を含む)等の事情が考慮される。

他方、最良執行の観点からは、取引の価額に加えて、取引コストやマーケットインパクト軽減等の事情が考慮される。

こうした観点からすれば、以下のような取引についても、ファンド間の公平性・公正な価格形成が図られており、「必要かつ合理的と認められる場合」に該当すると考えられる(ただし、これらは例示に過ぎず、当該例示に限られるものではない。)。

イ. 異なるファンドマネージャーの投資判断に基づく売りと買いの注文についてトレーダーが執行する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して価格形成に影響を与えるおそれが無く、かつ、同一トレーダーによる取引の場合は、当該トレーダーに執行についての裁量が与えられていないもの。

ロ. 寄付前に、売りと買いの注文の双方を成行注文で発注する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

ハ. ザラ場における売りと買いの注文について、その発注時刻に相当程度の間隔がある取引(当該銘柄の流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

ニ. 契約又は信託約款等の規定に基づきシステム的に運用するインデックスファンドに係る取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

ホ. 個別の取引に係る発注のタイミング及び価格等が、投資信託委託会社等以外の第三者に委ねられることとなる、VWAP取引や計らい取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

ヘ. 銘柄数が少ないため、同一銘柄の注文を避けることが困難な先物取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

(3)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された投資信託委託会社等の業務執行体制に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資信託委託会社等における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

VI-2-3-2 受益者等に対する勧誘・説明態勢

(1)誇大広告の禁止等

運用の実績、内容又は方法が他の金融商品取引業者よりも著しく優れている旨の表示を根拠を示さずに行っていないか。

運用の実績を掲げて広告を行う場合に、その一部を強調すること等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用の実績を掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、運用の評価方法、使用ベンチマーク等に係る根拠が明確に示されているか、運用の実績は過去のものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)

運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合に、恣意的な前提条件を置くこと等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、シミュレーションの前提条件等に係る根拠が明確に示されているか、シミュレーションは所定の前提条件を元にしたものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)

(2)利益相反のおそれがある場合の受益者等への書面の交付

投信法第13条第1項の規定による受益者への書面の交付に当たっては、用語の解釈は次のとおりとし、その照会等があったときは、適切に対応するものとする。

「同種の資産」の解釈

投信法第13条第1項第1号、第2号及び投資信託及び投資法人に関する法律施行令(以下「投信法施行令」という。)第19条第1項に規定する「同種の資産」には、投資信託約款又は投資法人の規約において投資の対象とする特定資産の内容に制限が付されていることにより、当該特定資産の内容と他の委託者指図型投資信託又は投資法人の投資の対象とする特定資産の内容が競合しない場合を含まない。

「管理の委託」の解釈

投信法施行令第19条第3項第1号の「管理の委託」とは、不動産に係るテナントとの賃貸借契約の更改や賃料の収受のテナント管理業務を委託するものをいい、建物の警備や保守等を外部の専門業者に委託する場合を含まない。

(3)利益相反のおそれがある場合の投資法人等への書面の交付

投信法第203条第2項の規定による投資法人等への書面の交付に当たっての留意事項は、上記(2)に準ずるものとする。

(4)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された受益者に対する勧誘・説明態勢に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資信託委託会社等における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

VI-2-3-3 弊害防止措置・忠実義務

(1)二以上の種別の業務を行う場合の留意事項について

投資信託委託会社等が二以上の業務の種別(金商法第29条の2第1項第5号に規定する業務の種別をいう。)に係る業務を行う場合の弊害防止措置については、利益相反行為の防止など業務の適切性を確保する観点から、その業容に応じて、例えば次のような点に留意して検証することとする。

異なる種別の業務間における弊害防止措置として、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。

金商業等府令第147条第2号の「非公開情報」について、管理責任者の選任及び管理規則の制定等による情報管理措置等が整備されているとともに、当該情報の利用状況の適正な把握・検証及びその情報管理方法の見直しが行われる等、情報管理の実効性が確保されているか。

(2)投資運用業における利益相反等の未然防止に係る留意事項について

特定の権利者の利益を図るため他の業務の権利者の利益を害することとなる行為等を未然に防ぐため、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。

(3)権利者への忠実義務

運用財産の運用において事務ミス等の自己の過失により権利者に損害を与え、その損害について権利者に損害賠償を行わない場合、忠実義務違反に該当する可能性があることに留意する。これは、事務ミス等が業務委託先で発生した場合であっても、権利者に対して責任がある投資信託委託会社等がその損害について権利者に損害賠償を行わないときは同様である。

(4)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された投資信託委託会社等の弊害防止措置等に関する課題については、権利者に直接不利益を与えるおそれがあり、場合によっては忠実義務違反又は善管注意義務違反等の法令違反に該当する可能性があることから、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資信託委託会社等における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

VI-2-3-4 投資信託委託会社の業務継続体制(BCM)

(1)意義・対応

金融商品市場の仲介者として、重要な役割を果たしている投資信託委託会社においては、危機発生時において、迅速な復旧対策を講じ、必要最低限の業務の継続を確保する等適切な対応を行うことが、国民生活・経済にとっても極めて重要であることから、平時より業務継続体制(Business Continuity Management;BCM)を構築し、危機管理(Crisis Management;CM)マニュアルの策定等を行っておくことが必要である。こうした観点から、投資信託委託会社の監督に当たっては、その業容に応じ、例えば以下の点に留意して、その適切性について検証することとする。

(2)主な着眼点

業務継続計画(BCP)においては、テロや大規模な災害等の事態においても早期に被害の復旧を図り、金融システムの機能の維持にとって必要最低限の業務の継続が可能となっているか。その際、金融商品取引業協会、証券会社等及び関係機関等と連携し対応する体制が整備されているか。また、業務の実態等に応じ、国際的な広がりを持つ業務中断に対応する計画となっているか。

例えば、

災害等に備えた顧客データ等の安全対策(紙情報の電子化、電子化されたデータファイルやプログラムのバックアップ等)は講じられているか。

コンピュータシステムセンター等の安全対策(必要に応じたバックアップセンターの配置、要員・通信回線確保等)は講じられているか。

これらのバックアップ体制は、地理的集中を避けているか。

顧客の生活、経済活動及び金融商品市場の機能維持の観点から重要な業務(投資信託(MMF、MRFを含む。)の解約注文に伴う解約口数の集計、連絡業務(販売会社からの解約連絡受付、集計、受託銀行への連絡等)、基準価額の算出、発表業務、既存ポジションの把握、必要最小限の運用指図業務及び直販顧客に係る解約業務(直販顧客からの解約受付等窓口業務)並びにこれらの業務を遂行するための法令対応(有価証券届出書等の作成・提出等も含む。)、組織管理、システム管理及び危機管理業務等(顧客説明業務を含む。))を、暫定的な手段(手作業、バックアップセンターにおける処理等)により再開(リカバリー)するまでの目標時間が具体的に計画されているか。

業務継続計画の策定及び重要な見直しを行うに当たっては、取締役会による承認を受けているか。また、業務継続体制が、内部監査、外部監査など独立した主体による検証を受けているか。

(参考)「金融機関における業務継続体制の整備について」(日本銀行、2003年7月)

「業務継続のための基本原則」(ジョイント・フォーラム、2006年8月)

このほか、基本的に、III-2-9に基づき、対応することとする。

 

VI-2-4 外国投資信託委託業に係る業務の適切性

外国投資信託を国内から直接設定・指図する運用業に係る業務の適切性の検証は、VI-2-3(VI-2-3-2(2)及び(3)並びに VI-2-3-4を除く。)に準ずるものとする

VI-2-5 ファンド運用業に係る業務の適切性

ファンド運用会社(ファンド運用業(金融商品取引業のうち、金商法第2条第8項第15号に掲げる行為を業として行うことをいう。以下同じ。)を行う者をいう。以下同じ。)の業務の適切性に関しては、以下の点に留意して検証することとする。

VI-2-5-1 業務執行態勢

(1)運用財産の運用・管理

ファンド運用会社が運用財産の運用及びその管理を適切に行っているかどうかについて、以下のような点に留意して検証することとする。なお、以下の点については、その行う業務の内容、規模等を踏まえた上で総合的に判断する必要があり、評価項目の一部を充足していないことのみをもって、直ちに不適切とするものではない。

運用方針を決定する社内組織に関する事項(具体的な意思決定プロセスを含む。)が、適切に規定されているか。

運用部門における運用財産の運用方法が、具体的に定められているか。

運用財産相互間又は運用財産と自己若しくは第三者の資産相互間における有価証券等の取引に関する管理態勢整備が適切に行われているか。

金商法第42条の3の規定により権利者のための運用を行う権限の全部又は一部を他の者に委託する場合(当該他の者が委託された権限の一部を再委託する場合を含む。)に、委託先の選定基準や事務連絡方法が適切に定められているか。また、委託先の業務遂行能力や、契約条項の遵守状況について継続的に確認できる態勢が整備されているか。さらに、委託先の業務遂行能力に問題がある場合における対応策(業務の改善の指導、再委任の解消等)を明確に定めているか。

発注先や業務委託先等の選定に関し、当該者に係る取引執行能力、法令等遵守状況、信用リスク及び取引コスト等に関する事項が、勘案すべき事項として適切に定められているか。

投資判断に係るプロセスの適切性を含め、運用財産が金商法第2条第2項第5号に規定する出資者との出資契約又は運用ガイドライン等に則り、適切に運用されているか(運用状況の記録を保存しているかを含む。)どうかについて、運用部門から独立した部門により定期的な検証が行われる体制が整備されているか。

(2)取引の執行

ファンド運用会社は、取引の執行に当たり、取引価格、その他執行コストを総合的に勘案して、最も顧客の利益に資する取引形態を選択することが求められている。金融技術の発達により取引形態の多様化が進んでいる現状にかんがみ、ファンド運用会社の取引の執行状況について、例えば、以下のような点に留意して検証することとする。

平均単価による取引(約定日・受渡日が同一の取引につき、銘柄ごと・売買別に、単価の異なる複数の約定を合算し、平均単価を単価とする取引をいう。)

イ. 部門の分離

投資判断を行う部門と、注文を発注する部門は分離されているか。組織的な分離が困難な場合、少なくとも両者の役割を担当者レベルで分離しているか。

ロ. 取引の検証

管理部門等が、平均単価による取引に係る一連の業務プロセス等について、適切に検証できる態勢となっているか。

ハ. 顧客への開示及び顧客の同意

顧客への事前開示及び顧客の同意の下、平均単価による取引を行っているか。また、複数の運用財産に係る約定配分を伴う発注を行う場合には、顧客に対して、内出来時の配分基準について適切に説明しているか。

一括発注による取引

複数の運用財産について、銘柄、売買の別を同一にする注文を一括して発注し、その約定内容を銘柄ごと・売買別に合算した後に、金融商品取引業者が予め定めた配分基準により、各運用財産への約定配分を行う場合には、顧客間の公平性を確保する観点から、上記に準じた体制整備等が行われているか。

運用財産相互間における取引

運用財産相互間取引は、一方のファンドの投資者に不利益となるおそれがあり、ファンド間の利益の付け替えといった投資者保護上問題がある行為にも用いられ得ることから、原則として禁止されている。

他方、金商業等府令第129条第1項第1号に規定する取引については、運用財産相互間取引の禁止の適用除外が認められているところ、運用財産相互間取引を行うに当たっては、管理部門等が同号イ及びロに掲げる要件の全てを満たしていることを適切に検証できる態勢が求められる。

金商業等府令第129条第1項第1号イ(4)に規定する「必要かつ合理的と認められる場合」とは、ファンド運用会社が運用財産相互間取引を行う場合に、顧客間における公平性の確保及び顧客に対する最良執行義務又は忠実義務上の要請が満たされている場合をいうところ、運用財産相互間取引を行う両ファンドそれぞれにおける当該「売り」又は「買い」の投資判断に必要性・合理性があり、かつ、当該投資判断に基づく最良執行のために運用財産相互間取引が行われる(又は最良執行のために行った取引が結果的に運用財産相互間で対当する)場合は、これに該当する。

投資判断の必要性・合理性の有無の判断に当たっては、各ファンドの投資方針(ファンド運用会社がリスク管理等の観点から社内で設定している投資制限を含む)、ファンドの解約・設定に伴う資金の流出入(各ファンドのポートフォリオ維持のために売買を行う必要性等を含む)等の事情が考慮される。

他方、最良執行の観点からは、取引の価額に加えて、取引コストやマーケットインパクト軽減等の事情が考慮される。

こうした観点からすれば、以下のような取引についても、ファンド間の公平性・公正な価格形成が図られており、「必要かつ合理的と認められる場合」に該当すると考えられる(ただし、これらは例示に過ぎず、当該例示に限られるものではない。)。

イ. 異なるファンドマネージャーの投資判断に基づく売りと買いの注文についてトレーダーが執行する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して価格形成に影響を与えるおそれが無く、かつ、同一トレーダーによる取引の場合は、当該トレーダーに執行についての裁量が与えられていないもの。)

ロ. 寄付前に、売りと買いの注文の双方を成行注文で発注する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

ハ. ザラ場における売りと買いの注文について、その発注時刻に相当程度の間隔がある取引(当該銘柄の流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

ニ. 契約又は信託約款等の規定に基づきシステム的に運用するインデックスファンドに係る取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

ホ. 個別の取引に係る発注のタイミング及び価格等が、ファンド運用会社以外の第三者に委ねられることとなる、VWAP取引や計らい取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

ヘ. 銘柄数が少ないため、同一銘柄の注文を避けることが困難な先物取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)

(3)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握されたファンド運用会社の業務執行体制に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、ファンド運用会社における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

VI-2-5-2 勧誘・説明態勢

(1)誇大広告の禁止等

運用の実績、内容又は方法が他の金融商品取引業者よりも著しく優れている旨の表示を根拠を示さずに行っていないか。

運用の実績を掲げて広告を行う場合に、その一部を強調すること等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用の実績を掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、運用の評価方法、使用ベンチマーク等に係る根拠が明確に示されているか、運用の実績は過去のものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)

運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合に、恣意的な前提条件を置くこと等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、シミュレーションの前提条件等に係る根拠が明確に示されているか、シミュレーションは所定の前提条件を元にしたものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)

(2)契約締結前の書面交付に係る留意事項

ファンド運用会社が投資運用業に係る業務以外の業務(兼業業務)を行う場合であって、投資運用業に係る報酬と兼業業務に係る手数料等を同一契約において一体として徴収する場合は、金商法第37条の3第1項第4号の「当該金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき対価に関する事項」には、投資運用業に対する報酬の額と兼業業務に対する手数料等の額との区分を明確にすること。

(3)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握されたファンド運用会社の勧誘・説明態勢に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、ファンド運用会社における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

VI-2-5-3 弊害防止措置・忠実義務

(1)二以上の種別の業務を行う場合の留意事項について

ファンド運用会社が二以上の業務の種別(金商法第29条の2第1項第5号に規定する業務の種別をいう。)に係る業務を行う場合の弊害防止措置については、利益相反行為の防止など業務の適切性を確保する観点から、その業容に応じて、例えば次のような点に留意して検証することとする。

異なる種別の業務間における弊害防止措置として、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。

金商業等府令第147条第2号の「非公開情報」について、管理責任者の選任及び管理規則の制定等による情報管理措置等が整備されているとともに、当該情報の利用状況の適正な把握・検証及びその情報管理方法の見直しが行われる等、情報管理の実効性が確保されているか。

(2)投資運用業における利益相反等の未然防止に係る留意事項について

特定の権利者の利益を図るため他の業務の権利者又の利益を害することとなる行為等を未然に防ぐため、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。

(3)権利者等への忠実義務

運用財産の運用において事務ミス等の自己の過失により権利者に損害を与え、その損害について権利者に損害賠償を行わない場合、忠実義務違反に該当する可能性があることに留意する。これは、事務ミス等が業務委託先で発生した場合であっても、権利者に対して責任があるファンド運用会社がその損害について権利者に損害賠償を行わないときは同様である。

(4)監督手法・対応

日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握されたファンド運用会社の弊害防止措置等に関する課題については、権利者又は運用財産に直接不利益を与えるおそれがあり、場合によっては忠実義務違反又は善管注意義務違反等の法令違反に該当する可能性があることから深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、ファンド運用会社における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。