英国の金融商品基準、CAT standards


英国の金融商品には「CAT Standards」という基準が設けられています。このCAT Standardsは、英国の税制優遇個人貯蓄勘定(ISA=Individual Saving Account)のために政府主導で設けられた商品基準です。

消費者がISA対象商品である3商品(預金、生命保険、株式・投資信託)を選択する際に最低限考慮すべきポイントである「手数料(Charges)」「入手(Access)」「条件(Terms)」に焦点をあてたものであることから、これらの頭文字をとってCAT Standardsと呼ばれているそうです。

CAT Standardsは、政府による商品の認可を示すものではなく、CAT Standardsを満たした金融商品は消費者に理解しやすく、合理的な金融商品であるということを示すものです。 一方、CAT Standardをクリアした金融機関は、CAT Standardsを満たした商品であることを消費者に宣伝することが許されます。英国の運用会社のページを覗いていると、確かに、この基準に合ったファンドについては、「CAT-standard fund」や「Meets the Government set CAT standards for ISAs on Charges, Access and Terms」と記載されていました。

預金、生命保険、株式・投資信託の3分野に共通のCAT Standardsは、

  1. 簡潔な英語を用いるなど、顧客にとってわかりやすい、
  2. 他の関連商品の購入義務がなく、既存顧客の優遇するといった販売が行われていない、
  3. 商品が販売された後も基準を維持することを保証するといった一貫性があること

とされています。ちなみに、商品別のCAT Standardsは次のとおりです(英国FSAホームページより)。

【預金】

  • 追加サービスを依頼しない限り、手数料がかからない。
  • 最低10ポンド単位で預け入れまたは引き出しが可能であり、7日以上の事前通告は必要とされない。
  • 金利がつき、その利率は政策金利(base rate)を2%以上下回らない。
  • ISAはこれ以上の条件を付加しない。

【生命保険】

  • 年間手数料は資産価値の3%以内であり、この他の手数料がかからない。
  • 月額25ポンド、または年間250ポンドからの購入が可能。
  • 解約時にペナルティがかからない。解約時には、少なくとも解約までの3年間に払い込んだ保険料を受け取ることができる。

【株式および投資信託】

  • 年間の管理手数料は純資産額の1%以内であり、この他の手数料がかからない。
  • 月額50ポンド、または、または年間500ポンドからの購入が可能。
  • 認可を受けたユニット・トラスト、oeic、インベストメント・トラストであり、ファンド資産の50%以上がEU域内の証券取引所に上場されている株式か投資信託に投資されている。投資リスクが商品説明用資料に明示されている。

日本でもCAT Standardsのような明確な基準があれば、確定拠出年金や投資を行う際の一つの選択方法として有益なのではないかと思いました。