LGTとクライムワークス社、10年間のCO2削減策を合意


リヒテンシュタイン公爵家が所有する国際的プライベートバンキングおよびアセットマネジメントグループのLGTは、 スイスのクライムワークス社(以下、 クライムワークス)と10年契約を締結したと2022年1月5日に発表した。クライムワークスは、 LGTに代わり10年間で9,000トンのCO2を空気中から削減していく。LGTによると、LGTはこのような規模の合意にいたる初の銀行であり、この契約により、パリ協定や持続可能な金融セクターへのコミットメントを実現していく。

2015年のパリ協定では、 190以上の国々が産業革命以前の気温と比較して世界の気温上昇を1.5℃に抑えるとの目標に合意した。 1.5℃目標を実現するには、ネット排出量を世界的に削減する必要がある。LGTは2021年の初頭に、 2030年までに事業および投資に伴う排出量のネットゼロ達成を宣言している。

この目標を実現するために、LGTは革新的なソリューションを追求し、CO2キャプチャー(ダイレクト・エア・キャプチャー)の世界的な先駆者であるスイスのクライムワークスと契約を締結した。本契約はクライムワークスがLGTに代わり10年間で9,000トンのCO2を空気中からろ過し、永久に保管するというもの。LGTは本契約により、出張や投資活動で発生した排出など、避けられないCO2排出の一部をオフセットすることが可能になる。それと同時に、LGTはネットゼロ目標に整合させるために、例えば再生可能エネルギーの活用や建物の断熱性の向上、暖房システムの改善を通して、避けられる排出の削減に取り組んでいる。

LGTの会長マックス・フォン・ウント・ツー・リヒテンシュタイン公子は次のように述べている。

気候変動との戦いに勝利するためには、 事業活動のすべての分野であらゆる手段を活用し、 カーボン・フットプリントを改善する必要があります。 クライムワークスは、 事業の拡張性があり、 さらなる開発への大きな可能性を持つ新しい技術ソリューションを有しています。 有望な技術をもつ革新的な企業を支援することは、 LGTの気候変動への取り組みの重要な部分です。 企業責任や持続可能性に配慮する金融機関として、 ネットゼロCO2フットプリントを可能な限り早く達成することは重要です。 クライムワークスとの長期的なパートナーシップがこの目標に向けたさらなる一歩となります。

クライムワークス共同CEO兼共同創設者クリストフ・ゲバルド氏は次のように述べている。

LGTと本契約を締結することができ、 とても嬉しく思います。 本契約はクライムワークスにとって3社目となる10年契約であり、 私たちのソリューションの需要が増えていることを示しています。 また、 本契約は銀行が締結するダイレクト・エア・キャプチャーのなかでも最大規模のものとなります。 LGTをはじめとした金融サービス業界は、 CO2削減における真のリーダーシップを示しています。

空気中から地中へ

CO2キャプチャーや大気中のCO2の削減と保管は、森林再生などの自然な方法と技術ソリューションの両方により達成される。クライムワークスは後者の技術ソリューションを専門にしている。クライムワークスの再生可能エネルギー発電所は空気中のCO2をろ過し、それを水に溶かす。そしてカーブフィックスが開発した方法を用い、 アイスランドの地下にある玄武岩質の岩相に注入し、 玄武岩内のミネラルと化学反応を起こさせて凝固させる。このプロセスを通してCO2は石化し、 空気中から永久的に除去される。LGTによると、クライムワークスの技術は大気中のCO2をスケーラブルな方法で削減し、それを地下に永久的に保管できる、現在利用可能な唯一のソリューション。このプロセスや使用される発電所の詳細はクライムワークスのウェブサイトで閲覧できる。

LGTについて

LGTは、 リヒテンシュタイン公爵家が90年以上にわたりオーナーを務める国際的プライベートバンキングおよびアセットマネジメントグループ。 2021年6月30日現在、 LGTは富裕層や金融機関のお客様から2,750億スイスフラン(2,974億米ドル)の運用資産残高(AUM)を管理している。 ヨーロッパ、 アジア、 米国、 中東の約20拠点以上に3,900名を超える従業員を擁しています。