ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2019年中間期グローバル市場展望を発表


米ステート・ストリート・コーポレーション(本社:ボストン)の資産運用部門であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは2019年6月24日(米国東部時間)、「サイクルの長期化でノイズの先を見る(Look Beyond the Noise as Cycle Extends)」と題する、2019 年中間期グローバル市場展望を発表した。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、「この数カ月間に貿易摩擦のリスクが急速に高まっていますが、当社は引き続き、米連邦準備制度理事会(FRB)が緩和的な政策スタンスを取ることで、世界経済に緩やかな成長余地があると考えます」と述べている。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)であるリック・ラカイエ氏は次のように述べている。

この1年間を振り返って最大の教訓は、ノイズの中でも目を凝らし、ファンダメンタルズの長期的方向を見極めるということです。景気サイクルは長期化の余地があり、特に米国ではモメンタムが十分に持続していますが、貿易摩擦をめぐる展開に注視していきます。

また、副最高投資責任者を務めるロリ・ハイネル氏は次のようにコメントしている。

米国と世界の第1四半期の経済成長率は、懸念されていたほど悪い内容ではなく、賃金インフレは加速したものの、全体的なインフレ率は管理可能な水準を維持しています。2018年12月、市場では、米中間の貿易紛争の影響と、FRBの金融引き締めスケジュールが極めてタカ派的であるとの見方が圧倒的となったことから、世界経済の成長見通しが過度に懸念されました。現在も貿易摩擦のリスクは解消されていませんが、政策スタンスは転換しています。

■株式市場では、ボラティリティの急上昇も成長が継続

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、「そのため、マクロ要因は今後も企業利益の伸びを下支えすると思われますが、世界経済が直面する地政学や経済成長をめぐる重大リスクにより、ボラティリティが急上昇しやすい傾向があり、投資家は警戒姿勢を取る必要があります」と述べている。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域投資責任者のビル・ストリート氏は次のように述べている。

政策による大きな後押しを背景に、当社は株式を依然としてオーバーウェイトしていますが、ファンダメンタルズが投資リターンから乖離し、リスクが高まる中で、投資家はディフェンシブ寄りのバイアスを維持するべきと考えています。足元の景気サイクルの長さ(過去最長)や過去のサイクルと比較した場合の株価のバリュエーションは、2019年後半に向けて貿易リスクが低減し、企業利益の伸びが見られれば正当化されるはずです。

■貿易リスクにもかかわらず、中国とインドが成長を牽引

米国をはじめとする先進国市場における保護貿易主義の高まりは、新興国市場にとって依然として重要なリスクです。しかし当社は、新興国市場で最大の経済国であるインドと中国の成長シナリオが、株式と債券の両市場で投資機会を提供し続けると考えています。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのアジア太平洋地域投資責任者であるケビン・アンダーソン氏は次のように述べている

新興国株式のバリュエーションは、他の地域との比較で見ると過去最低水準にありますが、1株当たり利益(EPS)や売上高予想は堅調を維持しています。新興国市場は魅力的であり、米中間の貿易紛争に伴うリスクが続いているにもかかわらず、長期的な成長シナリオに変わりはありません。債券投資に関しては、利回りの高い新興国債券が、短期的には現地通貨のボラティリティが懸念されるものの、長期的にはリターンが見込まれます。全体的には、中国経済が安定すれば新興国市場にとっても、好材料になります。

■気候変動リスクが投資家の間で重要に

2019年は気候関連の投資リスクがテーマの上位に浮上し、気候変動が金融市場全体にどのような影響を及ぼし、幅広いセクターのビジネスモデルやさまざまな資産クラスの長期的な資産価値にとってどのような脅威になりそうか、幅広く議論されるようになっています。

リック・ラカイエ氏は、「当社では、個別銘柄レベルでの気候リスクを特定し監視するための最新ツールを開発し、気候変動リスクへのエクスポージャーを低減することで、新たな投資機会を活用する新規の投資戦略を策定しました」と述べている。

「2019 年中間期グローバル市場展望」全文(英語)については、下記リンクから閲覧できる。
https://www.ssga.com/global/en/our-insights/publications/global-market-outlook.html