ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ、2018年スチュワードシップ年次報告書を発表


ステート・ストリート・コーポレーション(本社: 米ボストン)の資産運用部門であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは2019年9月5日(米国東部時間)、2018年スチュワードシップ年次報告書 (英語)を発表した。年次報告書では、昨年度のスチュワードシップ活動についての成果、現在までの進捗、また2020年に向けた重点課題分野が示された。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)を務めるリック・ラカイエ氏は次のように述べている。

当社の投資アプローチにおいてスチュワードシップは不可欠であり、お客様に対する受託者責任を実現するために重要な要素であると考えています。私たちは、すべての資産基盤において、スチュワードシップを積極的かつ責任をもって実行することにコミットしています。環境・社会・ガバナンス(ESG)についての考慮は、従来から当社の取り組みの一つですが、ESGの課題は今後ますますリターンやリスクを導く要素として重要になるとの見方に基づき、昨年は、どのように全ての運用戦略にESGを組み込み改善していくかを検証することに注力しました。2018年には、企業が直面する新たなESG問題として、ジェンダー・ダイバーシティや人的資本管理(HCM)などの社会問題が表出し、長期的に企業価値を高める重要な要因であることが他の投資家にも認識されてきました。2020年にも当社スチュワードシップ・チームは引き続き、投資先企業がよりよい長期的価値を生むために、これらの課題をどのように克服していくかを見極めていきます。

当該年次報告書には、アセット・スチュワードシップ・チームが注力して実施したエンゲージメントの内容がまとめられている。具体的には、ジェンダー・ダイバーシティや気候変動に焦点を当てた複数年にわたる主要キャンペーンの成果、注目が高まった重要な社会的問題、スチュワードシップに関する取り組みに対しESGやステート・ストリートのESGスコアリング・システムであるResponsibility-Factor(Rファクター)を組み込む手法などを示している。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのESG投資兼アセット・スチュワードシップ責任者を務めるラキ・クマール氏は次のように述べている。

当社のスチュワードシップ・プログラムは、影響力を効果的に用いるべく設計されています。2019年6月30日現在、当社の『恐れを知らぬ少女』キャンペーンの対象となった1,350社のうち43%に当たる580社以上が、私たちの要請に応じて女性役員を新たに起用、あるいは短期的な目標としてそれを約束しました。気候変動に関しては、この問題に関するエンゲージメントを開始した2014年以降、その件数が365件以上に上りました。企業の取締役会は気候変動を軽減すべきリスクと捉え始めるようになったものの、長期的な戦略課題であるにも関わらず、短期的な戦術的スタンスでの対応にとどまりました。

2018年、同社スチュワードシップ・チームは一部セクター(小売り、製薬、素材)の取締役会に関するガイダンス、更に米国、英国、オーストラリア、欧州におけるコーポレート・ガバナンスの広範なテーマ、報酬戦略、企業の長期戦略におけるサステナビリティ(持続性)に重点を置いた。スチュワードシップに関する重要テーマで、株式運用資産の約70%に相当する1,530社に対してエンゲージメントを実施した。エンゲージメントの約半数は、主に直接面談または電話会議を通じて行う包括的な方法で、残りは書簡によるものだった。年次報告書では、同社の議決権行使やエンゲージメントに関する企業の反応の具体例を紹介しながら、昨年度のスチュワードシップ・プログラムの影響について洞察を提示している。

ESGの融合

当該年次報告書は、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが、どのように運用戦略や運用チームにESGを組み込むことを重視してきたかを示している。同社はRファクターの構築に多くの経営資源を投資してきた。Rファクターは、2019年に運用開始されたESGに関する独自のスコアリングの仕組みであり、各企業が属する業界が直面する財務上重要なESG課題に関して、企業の事業運営とガバナンスのパフォーマンスを計測するもの。この仕組みは透明性の高いマテリアリティ(重要性)・フレームワークと、世界有数のデータプロバイダー4社から提供される450以上のデータ指標を用いて、5,000社以上のESG慣行についてスコアリングする。

クマール氏は次のように述べている。

私たちが膨大な時間と経営資源を投じてRファクターを構築したのは、運用戦略にESGを組み込むことに価値があると確信しているからです。RファクターのスコアやESGに関する教育ツールを投資先企業と共有し、Rファクターを裏付けとする投資ソリューションが開発され、多くの投資家や企業が参加すれば、将来的により持続可能な資本市場が構築されるでしょう。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのアセット・スチュワードシップ・プログラムに関する詳細→https://www.ssga.com/apac/jp/institutional-investor/ja/about-us/asset-stewardship.html

レポートの全文(英文)→https://www.ssga.com/global/en/our-insights/publications/annual-stewardship-report-2018.html