ラッセル・インベストメント、「国内年金基金向けオルタナティブ商品調査」を発表


ラッセル・インベストメントは、国内の運用機関が、年金基金を中心とする機関投資家向けに提供しているオルタナティブ商品に関する調査の2010年度版の調査結果を発表した。2008年から半年毎に実施されている同調査は、機関投資家のオルタナティブ商品に対する動向を把握する上で、業界関係者から注目されている。

7 回目となる今回の調査では過去最多の107社の運用機関より約400本の運用商品への投資動向について回答を得られた。140社を超える運用機関に依頼し、76%という非常に高い回答率を得たことから、オルタナティブ商品に対する機関投資家の動向に関して、市場関係者が高い関心を持っていることが窺える。

また、同調査の投資対象であるオルタナテイブ商品は、調査開始時の2008年度対比で約150本ほど増加し、その多くがヘッジファンド関連の商品であり、ヘッジファンド投資への関心が引き続き高いことが明らかになった。なお、本年度調査で増加が確認された商品の多くがヘッジファンド関連となっており、ヘッジファンド投資への注目が引き続き高いことが分かった。なお、同調査では、オルタナティブ商品の戦略区分を「ヘッジファンド(ファンド・オブ・ヘッジファンズ含む)/α戦略」、「プライベート・エクイティ」、「不動産」、「インフラストラクチャー」、「その他ロング・オンリー商品」、「その他証券化商品」、「その他」の7 種に大別している。

調査結果概要

回答総数の大多数がヘッジファンド

回答総数では、「ヘッジファンド」が運用機関数88社(82%、前年度比+2%)、商品数251商品(64%、前年度比+20 商品)と昨年度に引き続き大多数を占める結果となった。本年度調査の商品数の増加の多くがヘッジファンド関連商品となっており、日本でのヘッジファンド投資への引き続き高い関心が窺われた。

マルチ戦略、CTA/マネージド・フューチャーズは増加傾向、株式マーケット・ニュートラル1は頭打ち

ヘッジファンド全体の登録商品数が増加したにもかかわらず、株式マーケット・ニュートラル戦略は商品数もほとんど変わらず、ウエイトは減少した。マルチ戦略やCTA/マネージド・フューチャーズは昨年度調査時同様、商品登録数が増加し、株式マーケット・ニュートラル戦略と肩を並べるまでに至っている。

マネージドアカウントの使用割合がファンド・オブ・ヘッジファンズ(FOHF)で急増

FOHF においては、透明性に対するニーズが強いことを反映して、マネージドアカウント使用割合が45%と急増している。各運用機関のパフォーマンス格差は、ヘッジファンドでは相対的に小さいヘッジファンドの昨年度のパフォーマンスを見てみると、運用機関による格差は相対的に小さいことが分かった。

プライベート・エクイティ、不動産、インフラストラクチャーでは、目立った傾向は見られず

プライベート・エクイティの投資対象地域は、アジアを中心とした新興国も増えているものの、総合してみると米国・欧州が中心となっている。不動産の投資対象地域は、日本を対象としたものが多く、私募不動産では日本の割合が8割を超えている。インフラストラクチャーは、昨年度より2 商品増加し15 商品となったものの、増加ペースは緩やかなまま。

その他のオルタナティブ商品

商品特性が多岐に亘り、概観することは難しいものの、リスクを抑えた絶対収益型やオポチュニスティック的な商品が多数見受けられた。また、保険戦略も一定の地位を確立している。

その他、調査結果からは小幅ではあるものの、成功報酬が平均値ベースで引き上げ傾向、固定報酬は一部の商品で引き下げられるなど、運用報酬構造に変化が見られた。

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