ステート・ストリート、取締役会ダイバーシティ指針の対象を日本・カナダに拡大


ステート・ストリート・コーポレーション(本社:ボストン)の資産運用部門であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)は、2017年11月15日、投資先公開企業を対象とする「取締役会ダイバーシティ指針」を日本とカナダに拡大すると発表した。

SSGAは2017年3月に、ニューヨーク・ウォール街での「恐れを知らない少女(Fearless Girl)」像の設置と併せて、米国、英国、オーストラリアに本社がある約600社に書面を送付し、取締役会に女性役員または女性役員候補がいない場合、株主総会において指名委員長提案に反対票を投じることを通告した。そのうち、通告後も取締役のジェンダー・ダイバーシティ向上への努力が見られなかった約400社に対して、SSGAは最終的に反対票を投じた。

こうした株主権の行使を受けて、現在までに42社が取締役会のジェンダー・ダイバーシティを高める方針を決め、7社ではすでに女性取締役が就任した。

ステート・ストリート・コーポレーション社長兼最高執行責任者(COO)であるロナルド・オハンリー氏は次のようにコメントした。

他の条件がすべて同じ場合、ジェンダー・ダイバーシティが高い企業ほど、長期的により好業績を上げることをデータが示しています。『恐れを知らない少女』像の設置以来、株主資産15兆ドル超に及ぶ主要な資産保有者と資産運用会社においては、取締役会のジェンダー・ダイバーシティ向上に取り組んでおり、この取り組みを日本とカナダの企業へも拡大することにより、長期的な好業績とさらなる利益を投資家にもたらすことが期待されています。

日本では、東証株価指数TOPIX)500を構成する企業の55%が、また、カナダ・トロント証券取引所に上場されている700社のうち40%に、女性取締役が皆無となっている。SSGAは、2018年に日本とカナダの両国で1,200社以上に対し、「取締役会ダイバーシティ指針」を提示することを目指している。

SSGAのESG投資兼アセット・スチュワードシップ責任者を務めるラキ・クマール氏は次のように語っている。

我々は、責任投資を最重要課題として、引き続き追求していきます。資産運用会社として、投資先企業がジェンダー・ダイバーシティの推進に率先して取り組むことで業績を向上させられるように、私たちの見解を単純に押し付けるのではなく、協力と関与(エンゲージメント)を深めることをミッションと考えています。取り組むべきことは多いですが、当社はその専門知識と経験を他の諸国にも適用していくつもりです。

オハンリー氏は、今般の決定について、ニューヨーク市の女性リーダーで組織するウイメンズ・フォーラム・オブ・ニューヨークが主催した「2017年ブレックファースト・オブ・コーポレート・チャンピオンズ」において発表した。同イベントでは、600人を超えるCEO、取締役、政府官僚、影響力のあるメディアを集め、取締役会の女性比率を最低でも25%まで拡大する努力をしてきた企業が称えられた。ステート・ストリートは、取締役会における女性比率向上のために多大な努力をするとともに、大きな影響を与えた企業として認められた。

また、SSGAは、カナダ責任投資協会(RIA)に準会員としての加盟が承認されたことを発表した。

RIAのデブ・アビー最高経営責任者(CEO)は次のような歓迎の言葉を寄せている。

SSGAをRIAに準会員として迎えることを喜ばしく思います。当協会は、SSGAの責任投資へのコミットメントとジェンダー・ダイバーシティ推進に向けた活動を高く評価しています。我々は、ESG要素を組み入れた資産運用のカナダでの拡大に向けて、SSGAと協力できることを楽しみにしています。

カナダRIAは、カナダの資産運用業界の組織として、投資先の選択と運用へのESG要素の組み入れ(インテグレーション)による責任投資の推進に取り組んでいます。RIAの会員数は、投資家の間で投資価値に見合う企業の選択、ESGリスクとその機会への適切なエクスポージャーを求める動きが高まっていることを背景に、ここ数年で急増しています。

カナダにおけるSSGA社長のピーター・リンドレー氏は次のように述べている。

カナダRIAに加盟できたことは喜ばしいことです。これで、カナダ市場でのESGインテグレーションのサポートと推進への貢献を拡充できます。同協会はカナダ市場におけるリーダーとして認識されており、RIAや他の会員組織と共に、カナダでの責任投資のさらなる推進のために協力していくことを楽しみにしています。