2014年12月に償還したファンドについて

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投資信託協会によると、2014年12月に、19本の追加型株式投資信託が償還を迎えました。

19本の内5本は限定追加型で、ファンドの基準価額が、あらかじめ運用方針の中で定めている額を超えて上昇した場合に、自動的に安定運用に切り替えた後に償還させるという条項が設けられているファンドで、5本ともその条項を満たしたことによる償還でした。

上記の5本を除くと、13本が満期償還を迎えました。唯一、法律に基づき受益者の議決が必要となる繰上償還を実施したのはキャピタル アセットマネジメント株式会社の運用する「ヒューミント・エジプト株式オープン」でした。

「ヒューミント・エジプト株式オープン」は、エジプトの株式に投資するファンドとして2007年12月18日に設定され、当初の信託期間は無期限とされていました。今回繰上償還に至った理由について、キャピタルアセットマネジメントでは、投資先であるエジプトからの資金の移動が正常に行われていないことから、投資資金の回収が恒常的に遅れる事態が発生しており基本方針通りに運用を継続することが不可能であることから、ファンドの約款第39 条を適用することが投資家に資すると委託会社が判断したということです。

同ファンドの第39条には次のように記載されています。

【信託契約の解約】 第39条

委託者は、信託期間中において、この信託契約を解約することが受 益者のために有利であると認めるとき、信託契約の一部を解約することにより受益権の口数が5億口を下回ることとなったとき、またはやむ を得ない事情が発生したときは、受託者と合意のうえ、この信託契約 を解約し、信託を終了させることができます。この場合において、委託者は、あらかじめ解約しようとする旨を監督官庁に届け出ます。

資金移動が正常に行なわれないことが、この「やむを得ない事情の発生」に該当するというものです。

今回はエジプトの株式に投資するファンドで起こった問題ですが、このようなリスクは、新興諸国に投資するファンドが共通して抱えるリスクの一つであると言えます。かつて、1997年のアジア通貨危機の際には、アジア各国の投資規制や資本規制などにより、ファンドが資産を売却できない、あるいは資金を引き揚げられない、そのために投資家はファンドを売却できないなどの大きな影響がでました。

また、償還時の1口当たり償還額が当初設定額の10,000円を下回ったのはシュローダー・インベストメント・マネジメントの運用する「シュローダー・マスター・オープン」（1口当たり償還額9,289.65円）とキャピタル　アセットマネジメントの運用する「ヒューミント・エジプト株式オープン」（同8,619.04円）2本でした。また、運用期間中に支払われた分配金と1口当たり償還額の合計が10,000円を下回ったのは「ヒューミント・エジプト株式オープン」（1口当たり償還額＋期中分配金＝8,619.04円）だけでした。一方、1口当たり償還額と期中分配金の合計額が最も高かったのはDAIMアセットマネジメントの「みずほ世界不動産投信（通貨選択型）＜中国元コース＞」でその額は20,066.35円でした。

（データ：投資信託協会）