2022年7月に償還した投資信託―17本中11本が運用途中での繰上償還


7月は17本の追加型株式投資信託が償還、このうち11本が繰上償還

投資信託協会によると、2022年7月に17本の追加型の株式投資信託が償還を迎えました。償還とは投資信託が運用を終了することを言います。

この17本のうち満期償還(定時償還)は6本だけで、11本は、ファンドが設定された時点で定められていた信託期間(運用期間)を満了せずに、運用の途中で信託期間を繰り上げて償還されました。この中には、東京証券取引所に上場していたETFの「NEXT FUNDS 南アフリカ株式指数・FTSE/JSE」も含まれています。

2022年7月に償還した投資信託の状況

繰上償還の理由

2022年7月に繰上償還されたファンド11本の繰上償還の理由を見ると、大和アセットマネジメントの「エドテック・オープン」と「フードテック・オープン」は、受益者が1名であり、その受益者が全口数を換金したい意向があるという理由で繰上償還され、残りの9本については、運用残高が小さくなり、運用方針に沿った運用の継続が困難になったことが理由でした。「NEXT FUNDS南アフリカ株式指数・FTSE/JSE」もその一つで、残高が増加せず、受益権の口数が、信託契約を解約し信託を終了させることができる条件のひとつである200万口を4年以上にわたって下回っている状況であったために繰上償還が決定されました。

投資信託は運用残高(純資産総額)が少なくなると、効率的に分散投資を行うことが困難になるため、各ファンドが約款で繰上償還の条件としている一定の残高(ファンドにより異なる)を下回った状態が継続すると繰上償還される傾向にあります。

 

繰上償還の影響

投資家にとって投資信託の繰上償還は投資リスクの一つです。

保有している投資信託が繰上償還になった場合、その時点で評価損失があれば、償還時点で投資家の損失は確定されることになります。基準価額が回復することを期待して保有していた投資家も損失を確定し、現金化せざるをえません。一方、償還時に利益が出ていた場合は、利益を確定して通常は税金を支払うことになります。

これにより、投資家は運用計画を見直さざるをえなくなります。時間をかけて選んだ投資信託が、想定していた運用期間途中で運用終了されてしまうため、老後や子供の教育資金を目的とした資金計画をやり直す必要が生じてしまうわけです。

多くのファンドが繰上償還される現状を鑑みると、ファンドの選択には十分な注意が必要です。

 

この繰上償還リスクを回避するためには、投資信託を購入する前に、次の点を確認することがとても大切です。

  • 運用残高(純資産総額)が十分大きいこと
  • 運用残高が減少傾向にないこと

 

なお、投資信託協会のデータによると、ETFを除いた追加型株式投資信託の1本当たりの平均残高は約148億円です(2022年6月末現在)。一方で、純資産総額(残高)が500億円を超える投資信託は338本(2022年6月末現在)運用されています。少なくとも残高が平均以上あり、その残高が増加傾向にある投資信託を選択した方がよいでしょう。

 

 

1口当たり償還額

2022年7月に償還した投資信託の1口当り償還額(A)を見ると、「NEXT FUNDS南アフリカ株式指数・FTSE/JSE」を除く16本中6本は設定時の基準価額である10,000円を下回る金額で償還しました。

1口当り償還額が最も低かったのは、三井住友DSアセットマネジメントの「オーストラリア高配当株プレミアム(毎月分配型)」で、1口当り償還額は3,091.54円でした。

一方で、1口当り償還額が最も高かったのは、フランクリン・テンプルトン・ジャパンの「LM・米国・ラージ・キャップ・グロース・ファンド」で1口当り償還額は43,212.11円でした。

 

1口当たり償還額と運用期間中に投資家に支払われた分配金の合計額

1口当り償還額と運用期間中に投資家に支払われた分配金の合計額(トータル・リターン)で見ると、この合計額(A+B)が10,000円を下回ったファンドは1本でした。

1口当り償還額と運用期間中に投資家に支払われた分配金の合計額が最も低かったのは、大和アセットマネジメントの「エドテック・オープン」で、合計額は6,177.73円(1口当り償還額6,177.73円+分配金0円)でした。エドテック・オープンは、日本を含む世界の株式の中から「教育」に関連する銘柄へ投資するファンドとして2019年4月に設定されましたが、償還時において、受益者が1 名であり、その受益者が全口数を換金したい意向があるという理由で繰上償還されました。

 

一方、合計額が最も高かったのは、「LM・米国・ラージ・キャップ・グロース・ファンド」で、合計額は43,212.11円(1口当り償還額43,212.11円+分配金0円)でした。同ファンドは、魅力的な成長が見込めると判断される大型の米国企業の発行する株式に投資するファンドとして、2006年から運用が継続されてきましたが、残高の減少を理由に繰上償還されました。

 

2022年7月に償還した追加型株式投資信託の一覧

 

運用会社 ファンド名 設定日 純資産
総額
1口当り
償還額
(A)
期中
分配金
(B)
合計
(A) + (B)
満期/繰上
野村 野村RAFI日本株投信 2007.5.30 2,161 14,307.92 1,250.00 15,557.92 満期
野村 NEXT FUNDS南アフリカ株式指数・FTSE/JSE 2008.7.25 558 55,002.84 0.00 55,002.84 繰上
大和 エドテック・オープン 2019.4.26 1 6,177.73 0.00 6,177.73 繰上
大和 フードテック・オープン 2020.1.7 1 11,753.51 0.00 11,753.51 繰上
大和 ダイワ世界好配当株ファンド 2007.7.20 3,455 10,453.34 3,520.00 13,973.34 満期
インベスコ インベスコ インカムセレクトファンド 1997.4.25 531 8,388.41 7,480.00 15,868.41 繰上
ゴールドマン GSグローバル・ビッグデータ投資戦略 隔月決算コース(為替ヘッジなし) 2019.6.14 82 12,076.01 1,870.00 13,946.01 繰上
三菱UFJ 世界好利回りCBファンド2017-07(為替ヘッジあり)(限定追加型) 2017.7.27 2,637 10,586.84 0.00 10,586.84 満期
三菱UFJ 世界好利回りCBファンド2017-07(為替ヘッジなし)(限定追加型) 2017.7.27 1,122 12,201.49 0.00 12,201.49 満期
東京海上 東京海上・米国政策関連株式ファンド(為替ヘッジあり) 2017.3.10 49 8,245.90 4,200.00 12,445.90 満期
東京海上 東京海上・ジャパン・マイスター株式オープン 2019.5.24 335 13,229.42 0.00 13,229.42 繰上
UBS MSCIジャパン高配当利回りインデックス・ファンド(年2回決算型) 2016.6.14 149 16,423.64 0.00 16,423.64 繰上
UBS MSCIジャパン高配当利回りインデックス・ファンド(毎月決算型) 2016.6.14 378 11,326.90 4,080.00 15,406.90 繰上
フランクリン LM・米国・ラージ・キャップ・グロース・ファンド 2006.7.28 218 43,212.11 0.00 43,212.11 繰上
三井住友DS 欧州バンクローン・オープン(為替ヘッジあり) 2018.4.24 552 9,686.82 470.00 10,156.82 繰上
三井住友DS 欧州バンクローン・オープン(為替ヘッジなし) 2018.4.24 233 9,933.45 470.00 10,403.45 繰上
三井住友DS オーストラリア高配当株プレミアム(毎月分配型 2012.7.30 5,326 3,091.54 10,145.00 13,236.54 満期

(データ等出所:投資信託協会、EDINET、各ファンドの有価証券届出書・臨時報告書)