GPIF、スチュワードシップ・コードへの対応状況を公表


年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2016年01月28日、2016年(平成27年)のスチュワードシップ活動について公表した。

【スチュワードシップ・コードについての対応】

年金積立金運用独立行政法人は、「スチュワードシップ責任を果たすような様々な活動を通じて被保険者のために中長期的な投資収益拡大を図る」ことを明記した「投資原則」の策定に加えて、国連責任投資原則(UNPRI)の署名およびスチュワードシップ専任者採用等の体制強化を実施した。(なお、同法人はスチュワードシップ・コードに基づき、議決権行使を含むエンゲージメントについては、委託先である運用機関に対し積極的な取り組みを促している。)

【国内株式運用受託機関の状況】

  • 主としてアクティブ運用において、企業の持続的成長と企業価値向上を目指した「目的を持った対話」(エンゲージメント)が具体化しつつある一方、パッシブ運用においては、アクティブ運用の一環として行われている以外にエンゲージメントが実践されている状況ではない。
  • 同じ運用受託機関においてパッシブ運用とアクティブ運用がある場合、投資期間と目標リターンの違いによって議決権行使判断が分かれる可能性があるが、単純にアクティブ運用担当者の意見に合わせる傾向がある。
  • 一部の金融機関グループ傘下の運用受託機関において、親会社等との利益相反の懸念について組織的な対応がなされていない事例があり、また運用受託機関自身のガバナンスに懸念がある事例も存在する。

年金積立金運用独立行政法人の三谷隆博理事長は次のようにコメントしている。

当法人の運用機関が、適切なエンゲージメントを通じて投資対象企業の持続的な成長と企業価値向上に貢献すること、また、利益相反を含む課題について適切な対応を行うこと、更に、運用機関と企業との間の『対話』のツールであるコーポレート・ガバナンス報告書が双方向のエンゲージメントにおいて活用されることを期待しています。

なお、同法人のパッシブ運用受託機関に対する総合評価においてスチュワードシップ活動の評価ウェイトを高めることとし、また運用受託機関へのヒアリングの客観性を担保するため、今回のヒアリングに加えてスチュワードシップ活動に関する企業向けアンケートを実施している。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)