インデックスファンドのメリット


では、インデックスファンドのメリットについて考えてみましょう。インデックスファンドのメリットとしては、①コストが低く抑えられている、②手軽に分散投資ができる、③シンプルで分かり易い、④個別銘柄リスク、セクターリスク、ファンドマネージャーリスクが排除されることが挙げられます。

①コストが低く抑えられている

投資信託の主なコストは信託報酬売買委託手数料監査報酬です。この中でも最も大きなものが信託報酬ですが、インデックスファンドでは、組入銘柄を決定するために必要となるアナリストや調査分析チームにそれほどの人件費や費用がかからないので、信託報酬はアクティブファンドより低く抑えられています。

投資信託協会による「公募株式投資(追加型)における運用管理費用(信託報酬)の状況」によると、2016年12月現在、アクティブ運用ファンドの信託報酬率の平均が1.20%(年)であるのに対し、インデックスファンドの信託報酬の平均は0.51%(年)と半分以下になっています。また、最も低いインデックスファンドの信託報酬率は0.03%になっています。

売買委託手数料については、インデックスファンドは、一般に、連動を目指すインデックスの組み入れ銘柄を同じ構成比率で保有します。基本的には組み入れた銘柄をずっと持ち続けるので、アクティブファンドのように市場動向や株価、あるいはタイミングを見て売買益を狙って組入銘柄の売買を行うことはしません。そのために、ファンドにとって大きなコストとなる証券会社に支払う証券の売買委託手数料が非常に低く抑えられます。

売買委託手数料や信託報酬などのコストは、ファンドの資産から支払うものなので、これらのコストが大きければ大きいほど、ファンドの資産は減少し、それに応じてファンドの基準価額も低下します。インデックスファンドのように、コストが抑えられているということは、その分、効率的な運用が可能であり、基準価額を押し下げる力が抑えられていることを意味しています。つまり、投資家の取り分がその分大きくなるということです。

 

②手軽に分散投資できる

卵は一つの籠に盛るな。これは分散投資をすることでリスクを軽減すべきであるという教訓を表す格言です。とはいえ、個人投資家が分散投資を行うには、銘柄選択の難しさ、分散投資に必要な資金の大きさなど、ハードルが高いのも事実です。インデックスファンドは特定の指数への連動を目指して、その指数が保有する銘柄のほとんど全てを保有するので、インデックスファンドを1本保有するだけで、広範な分散投資が可能となります。例えば、最も一般的な日経平均株価への連動を目指すインデックスファンドであれば、日経平均株価を構成する225銘柄を日経平均株価の各銘柄の構成比率と同じ比率で全て組み入れています。しかも、1本の購入に必要な金額は10,000円程度からと、個人投資家でも手軽に分散投資が可能です。

 

③シンプルで分かり易い

インデックスファンドの値動きは対象としている指数に連動します。指数が上昇すればインデックスファンドも上昇し、指数が下落すればインデックスファンドの基準価額も同程度下落します。とてもシンプルな仕組です。

また、インデックスファンドは個人投資家に最も馴染みのある東証株価指数TOPIX)や日経225株価といった主要な株価指数への連動を目指すものが多くあります。これらの株価指数は一般のテレビやラジオのニュース番組、インターネットのニュースサイトでも公表されます。そのため、保有するインデックスファンドの大まかな動向を捉えてゆくことが容易にできます。

ただし、海外の債券などに投資するインデックスファンドのベンチマークに関する情報などは、テレビやラジオで入手することは難しく、インターネットを利用して大手経済情報サイトなどで入手する必要があります。

 

④個別銘柄リスク、セクターリスク、ファンドマネージャーリスクが排除される

株式や債券投資には、どのような銘柄を選択するか、どのような業種に投資するかといった選択が不可欠です。それを誤れば、投資は上手くいきません。しかし、実際には、投資には不確実性が多く、値上りする銘柄を見いだすこと、成長する業種を判断することは、プロでも難しいことであり、ましてや経験、情報、分析力でプロに劣る個人投資家にとっては極めて難しいタスクです。

では投資信託のようなプロが運用する商品を購入すればよいということになっても、前述のように勝ち続けるファンドマネージャーを見つけることは困難です。

一方で、インデックスファンドは指数を構成する銘柄に同じ割合で分散投資を行いますので、銘柄選択や個別のセクター(業種)選択という決断は排除されています。つまり、個別銘柄リスクやセクターリスクはありません。同様に、ファンドマネージャーが組み入れる銘柄を決定するわけではないので、ファンドマネージャーの銘柄選択の巧拙といったリスクも、インデックスファンドにはありません。

 

「初めての投資信託〜インデックスファンドから始めてみよう」の目次