農林中金バリューインベストメンツ、企業型確定拠出年金で岡三証券と業務提携


農林中央金庫グループの投資運用・助言会社である農林中金バリューインベストメンツ株式会社と岡三証券グループの中核証券会社である岡三証券は、企業型確定拠出年金プラン「オーナーズクラス」の提供にかかる業務提携契約を、2024年5月20日に締結した。

農林中金バリューインベストメンツ株式会社と岡三証券株式会社の業務提携

提携の背景について農林中金バリューインベストメンツは次のように説明している。

長期資産形成意識の高まりを背景に、企業型確定拠出年金(以下「企業型DC」)の加入企業および加入者数は過去10年、右肩上がりで増加しています(※1)。一方、導入可能な対象企業約250万社のうち、加入済の企業は約4.7万社にとどまり(普及率2%程度)(※2)、特に大企業に比して中小企業向けの普及が遅れている状況です。

農林中金バリューインベストメンツと岡三証券は、このように日本全体の約65%(従業員構成比)を占める中小企業への導入が6.9%にとどまっている「非対称性」(※3)を憂慮しており、国民の資産形成の手段として有効な企業型DCを中小企業等の皆様にも広くお届けしたいと考えています。そしてこのことは、人的資本への投資という観点で、資産運用立国を目指す我が国の課題解決(SDGs:金融サービスの不平等是正 ESG:人的資本投資)にも資する取り組みであると考えています。

企業型DC普及率

(※1) (※2)確定拠出年金統計資料(運営管理機関連絡協議会提供)参照(2023年3月時点)
(※3) 全国の中小企業比率は法人企業統計(直近2021年度)に基づく(資本金1億円未満を中小企業と定義)。中小企業の企業型確定拠出年金導入比率は、第20回社会保障審議会企業年金・個人年金部会(2022年12月7日)参考資料1「私的年金制度(企業年金・個人年金)の現状等」を参照。

 

企業型DCプランが抱える問題点を解決するオーナーズクラス

こうした認識のもと、農林中金バリューインベストメンツと岡三証券は、2023年1月に企業型DCプラン「オーナーズクラス」(運営管理機関:岡三証券 代表事業主:農林中金バリューインベストメンツ)(以下「OC」)をリリースした。農林中金バリューインベストメンツでは、現在、主に大企業向けに提供されている企業型DCプランは、必ずしも商品ラインナップのコンセプトや選定プロセスが明確でないために、投資経験のない従業員が自身で運用商品を選択することが難しいケースも少なくないと認識している。また、事業主にとっても、導入後の投資教育など、従業員サポートが負担となり、その結果、加入率が伸び悩むケースもあると見ている。

これらの問題に対処するため、「オーナーズクラス」は従業員一人からでも加入できる中小企業に適したプラン設計としていることに加え、最終受益者目線により、将来の資産形成に親和性の高い長期投資に適した選びぬかれた運用商品をラインナップしていること、また、投資教育のコンテンツも充実していることなどに特徴があり、事業主の負担軽減にも資する広く日本全体への企業型DCの普及を目指した新しいタイプの企業型DCプランとなっている。

 

今回の業務提携は、運営管理機関および代表事業主の協働性を高めながら事業運営体制の強化を進め、「オーナーズクラス」を農林水産業に関連する系統団体をはじめ1社でも多くの日本の中小企業等の皆様に広く届けながら、事業主や従業員の皆様のサポートも充実させていくことを企図するもの。

企業型DCプラン「オーナーズクラス」

 

 

業務提携によるシナジー効果

農林中金バリューインベストメンツは、「投資の力で日本を豊かにする」ことを2014年の設立の目的に掲げ、一貫して長期厳選投資の機会を投資家に提供してきた。同社によると、企業型DCは、「年金資産運用として長期・毎月積立する投資インフラ」であるため長期厳選投資との親和性が高い制度。今回の「オーナーズクラス」運営にかかる業務提携により、農林中金バリューインベストメンツは、これまで同社と縁のなかった個人の顧客に長期厳選投資を認知してもらう機会が拡大するものと考えている。

岡三証券は、「オーナーズクラス」を通じて中小企業等へのアクセスが増加することが期待でき、より多くの企業に向けて、従業員のファイナンシャルウエルネスへの貢献を含む、様々な企業ニーズに応じた金融サービスの提供機会が拡大するものと考えている。

業務提携後の取り組み・検討事項

農林中金バリューインベストメンツと岡三証券は、「オーナーズクラス」を1社でも多くの中小企業等に届けるため、次のことに取り組む。

  1. 運用商品の充実化(ラインナップの不断の見直し、ファンドモニタリング向上、情報開示等)
  2. 投資教育の充実化(コンテンツのクオリティ向上、UX改善、投資セミナーなど事業主サポート等)
  3. 事務ITインフラの充実化(事業主のユーザビリティの向上、お客様のサポート体制強化等)
  4. 組織運営体制の充実化(人員増強、ジョイントベンチャー設置など、運営体制強化に向けた不断の検討等)