ステート・ストリート、アジア国債・公債ETFによる証券貸付を開始


米ステート・ストリート・コーポレーション(本社:ボストン)の資産運用部門であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、2018年6月27日、アジア国債・公債 ETF(正式名称:ABF 汎アジア債券インデックス・ファンド※1 。)が証券貸付プログラムを開始したと発表した。これにより、今年7月10日より、同ファンドが保有する特定のアジア現地通貨建て債券が、証券貸付市場で基準を満たした借り手向けに貸し出される。

アジア国債・公債ETFの運用者であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、証券貸付が同ファンドの投資家に利益をもたらすと確信している。ステート・ストリートのシニア・マネージング・ディレクターおよび日本を除くアジア責任者を務めるジューン・ウォン氏は次のようにコメントしている。

当ファンドの証券貸付プログラムから生ずる収益が、当ファンド関連費用の一部を相殺し、ファンドのリターン向上へ潜在的に貢献することを期待しています。同時に、アジアの現地通貨建て債券が証券貸付のプールに加わることで、債券流通市場の流動性が向上し、最終的にはすべての投資家の利益になると信じています。

アジア国債・公債ETFは、アジアで発行される現地通貨建ての国債及び公債を主な投資対象としている。同ファンドは、アジア債券市場のさらなる発展を目指すための東アジア・オセアニア中央銀行役員会議(EMEAP※2)のイニシアチブである、アジア・ボンド・ファンド(ABF)を構成する1ファンドとして設定された。アジアで発行される現地通貨建て債券の総額は、ABFが発足した2003年には1.3兆米ドル相当だったが、2017年にはほぼ8倍の10兆米ドル超まで増加した。

「2005年のアジア国債・公債ETFの設定以来、ステート・ストリートはアジア現地通貨建て債券市場の発展と、アジア投資家向けのこうした資産クラスのプロモーションのために、EMEAPと密接に協力してきました。これまでの市場の著しい成長を大変喜ばしく思っております」とジューン・ウォン氏は加えてコメントしている。

今般、アジア国債・公債ETFはEMEAPのABFを構成するファンドの中で、証券貸付プログラムを初めて提供することとなったが、それは、アジア債券市場のさらなる発展を目指すABFイニシアチブにとって重要な節目でもる。プログラムのレンディング・エージェントはHSBCが務める。

HSBCセキュリティーズ・サービシーズの証券貸付部門グローバル責任者のロイ・ジンマーハンスル氏は次のようにコメントしている。

アジア国債・公債ETFの証券貸付市場への参加は、流通市場でのアジアの現地通貨建て国債への需要拡大にとって重要な節目となります。当ファンドが提供する資産によって当該証券の流動性プールの拡大と深化がもたらされ、すべての投資家にとってのより良い市場に貢献するものと確信しています。同時に、当ファンドの収益にも貢献が期待されます。HSBCはこの度の市場の画期的な発展に寄与できることを誇りに思います。

ジューン・ウォン氏はさらに、「証券貸付市場には多くの主要投資家が参加しています。ステート・ストリートは、この度の市場の重要な進展の一翼を担い、アジアの現地通貨建て債券市場の発展に貢献できることを誇りに感じます。アジアの現地通貨建て債券は、アジアと世界の双方の投資家にとって、ますます重要な資産クラスになってきました。我々は、アジアの現地通貨建て債券市場が今後さらに成長することをとても楽しみにしています。」と述べている。

※1 ファンドの英語名: ABF Pan-Asia Bond Index Fund (PAIF)

※2 EMEAP(Executives’ Meeting of East-Asia and Pacific Central Banks)のグループは、東アジア・太平洋地域、すなわちオーストラリア、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポールおよびタイの11の中央銀行ならびに金融当局で構成されている。