JPモルガン・アセット・マネジメント、第12回 企業年金運用動向調査結果を発表


JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社は、2019年3月上旬から5月中旬にかけて日本の企業年金基金を対象に、過去2年間の運用状況の変化および今後の方向性について聞き取り調査を行い、その調査結果を2019年6月28日に発表した。

調査結果の概要は次の通り。

オルタナティブと国内債券の配分が逆転

本年の調査では、確定給付企業年金(DB年金)運用の資産配分の結果に大きな変化が見られた。近年、オルタナティブへの配分は増加傾向にあったが、本年の調査で初めて、政策アセット・ミックスにおけるオルタナティブの割合が21.3%と、国内債券の割合の18.1%を上回った。マイナス金利政策導入から3年余りとなり、政策アセット・ミックス見直しのタイミングを迎えたDB年金の多くにおいて、かつての国内債券中心の資産配分から変貌を遂げている姿が見られた。

 

オルタナティブ資産の中では低流動性資産への配分が過去最高に

また、オルタナティブの中でも、低流動性資産である実物不動産(エクイティ部分)へ投資済みのDB年金の割合が28.7%(前年22.0%)、インフラ投資(エクイティ部分)へ投資済みのDB年金の割合が30.4%(前年24.4%)と、過去最高となった。一方、保険戦略は2年連続のマイナスリターンの影響により、昨年の60.2%から54.8%と同割合の減少が見られた。オルタナティブは競争の激化によるリターン低下が懸念されているものの、DB年金においては、今後も、相対的に安定的なインカムゲイン獲得が期待される低流動性資産への配分拡大が計画されている。

 

国内株式ではESG投資への配分が増加

国内株式では、ESG投資へ投資済みのDB年金の割合が昨年の1.6%から7.0%に増加した。これまでESG投資は公的年金が先鞭を取ってきたが、コーポレートガバナンスの意識の高まりから、DB年金においてもESGの取り組みを強化する流れが見え始めている。また、DB年金ではパッシブ戦略から最小分散や高配当戦略への資金移動が行われている点も特筆に値する。DB年金ではリーマン・ショック以降「リスク抑制」をテーマとして資産配分が行われてきたが、個別戦略ベースでも下振れ抑制に寄与する最小分散や高配当戦略が支持されている。