国内最大ファンド・ランキング（2023年12月）

「eMAXIS Slim 米国株式（S&P 500）」が1位を維持−運用残高は2兆9,988億円

投資信託事情・イボットソンのデータによると、2023年12月末現在の投資信託の国内最大ファンド・ランキング（上位30位）（追加型株式投資信託、ETFは除く）は下表の通りでした。

三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）」が、11カ月連続で１位を維持しました。月末純資産総額は前月から4.2%（金額で1,210億円）増加し2兆9,988億円でした。

「eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）」は、米国を代表する株価指数の「S&P 500指数」（配当込み、円換算ベース）の値動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。設定は2018年7月、信託期間は無期限。信託報酬率は年率0.09372%以内（税込）。

また、同ファンドは、2024年1月に発表された「投信ブロガーが選ぶ！　Fund of the Year 2023」において第3位を獲得しています。

「eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）」の設定来の純資産総額の推移は次の通りです。直近のデータによると、純資産総額は2024年1月31日現在、3兆4,000億円を超えています。

（データ出所：三菱UFJアセットマネジメントHP）

「eMAXIS Slim」は三菱UFJアセットマネジメントが運用する低コストのインデックスファンドシリーズのブランド名です。三菱UFJアセットマネジメントでは、eMAXIS Slimシリーズのインデックスファンドにおいて、業界最低水準の運用コストを目指しています。2023年12月末日現在、14本のeMAXIS Slimシリーズのファンドが運用されています。また、純資産ランキングにおいて上位30位ファンドに3本がランクインしています。

eMAXIS Slimのホームページ→https://emaxis.jp/lp/slim/pr1/

一方、投信資料館がフォローしているレオス・キャピタルワークスが運用する「ひふみプラス」の2023年12月末の純資産総額は前月比2.3%（金額で121億円）減少し、約5,214.2億円でした。ひふみプラスは、主に日本の成長企業に投資するアクティブ運用の投資信託です。

つみたてNISA対象ファンド

純資産上位30位ファンドにおいて、23年12月までの旧NISAにおける「つみたてNISA」対象ファンドはひふみプラスを含めて次の9本でした。このうちアクティブ運用ファンドは、「ひふみプラス」とアセットマネジメントOneが運用する「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジ無)《未来の世界》」の2本でした。

ひふみプラス
eMAXIS Slim 米国株式（S&P500）
eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
楽天・全米株式インデックス・ファンド
SBI・バンガード・S&P500インデックスF《SBI・バンガード・S&P500》
＜購入・換金手数料なし＞ニッセイ外国株式インデックスファンド
グローバル・ハイクオリティ成長株式F(ヘッジ無)《未来の世界》
たわらノーロード先進国株式

なお、これらのファンドのうちインデックスファンド7本は2024年1月にスタートした新NISAにおいて「つみたて投資枠」対象ファンド、「ひふみプラス」と「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(ヘッジ無)《未来の世界》」は「成長投資枠」対象ファンドとなっています。

→NISA成長投資枠の対象商品（投資信託協会）

資金増減状況

投資信託の人気を測るバロメーターでもある月中の資金増減（月中の販売額から売却額を差引いた額）を見ると、純資産額上位３0位までのファンドの中で資金増加額（純増額）が最も大きかったのは、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」でした。同ファンドの12月の月間資金増加額は約1,078億円と大幅な資金流入が続いています。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。

なお、「eMAXIS Slim 全世界株式（オール・カントリー）」は、「投信ブロガーが選ぶ！　Fund of the Year 2023」において第1位を獲得しています。

純資産上位３0位ファンドのうち2023年12月に資金増加となったのは、18ファンドでした。

月間資金増加額上位5位ファンドは次の表の通りです。5本中2本は三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slimシリーズ」のファンドでした。

＜月間資金増加額上位5位ファンド（2023年12月）＞

ランキング	運用会社	ファンド名	月末純資産額（億円）	月間資金増加額（億円）
1	三菱UFJ	eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)	18,205.7	1,086.6
2	三菱UFJ	eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)	29,987.7	775.6
3	アライアンス	AB・米国成長株投信D毎月(ﾍｯｼﾞ無)予想分配金提示	21,859.7	587.5
4	インベスコ	インベスコ世界厳選株式Op<ﾍｯｼﾞ無>(毎月)《世界のベスト》	10,673.3	581.9
5	SBI AM	SBI・V・S&P500インデックス・ファンド《SBI・バンガード・S&P500》	12,255.6	160.2

一方、純資産総額上位30位ファンドの中で、月中の資金減少額が最も大きかったのは、アセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式F(ヘッジ無)《未来の世界(ESG)》」で、減少額は約211億円でした。純資産額上位３0位ファンドの中で月間の資金減少額が最も大きかったファンド5本は次の通りでした。5本中3本は米国を中心とするハイテク成長株に投資するタイプのファンドでした。

＜純資産上位30位ファンドの中で月間資金減少額が最も大きかったファンド＞

運用会社	ファンド名	月末純資産額（億円）	月間資金減少額（億円）
AM-One	グローバルESGハイクオリティ成長株式F(ﾍｯｼﾞ無)《未来の世界(ESG)》	10,023.3	-210.9
ピクテ	ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月)	9,194.6	-188.4
大和AM	ダイワ・US-REIT・オープン(毎月) B(ﾍｯｼﾞ無)	7,538.2	-137.0
AM-One	グローバル・ハイクオリティ成長株式F(ﾍｯｼﾞ無)《未来の世界》	6,171.4	-124.4
三井住友DS	グローバルAIファンド	4,240.9	-109.5

騰落率（過去1年）−　騰落率トップは「netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(ヘッジ無)」

次に、純資産総額３0位までの投資信託の騰落率を見ると、1年騰落率（運用成績）は全てのファンドでプラスでした。

純資産総額３0位までの投資信託のうち過去1年の騰落率が最も高かったのは、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(ヘッジ無)」で、騰落率は66.8%でした。同ファンドは、主にテクノロジーの発展により恩恵を受ける米国企業の株式に投資するファンドで、1999年11月に設定され、既に24年の運用実績があります。

純資産上位30位までのファンドの中で、過去１年の騰落率が最も高かった上位5本は次の通りです。すべてハイテク成長株を中心に投資するファンドでした。

ランキング	運用会社	ファンド名	純資産額（億円）	騰落率（1年）
1	ゴールドマン	netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(ﾍｯｼﾞ無)	8,767.0	66.8%
2	One	グローバルESGハイクオリティ成長株式F(ﾍｯｼﾞ無)《未来の世界(ESG)》	10,023.3	62.8%
3	三井住友DS	グローバルAIファンド	4,240.9	57.9%
4	One	グローバル・ハイクオリティ成長株式F(ﾍｯｼﾞ無)《未来の世界》	6,171.4	57.3%
5	日興	グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回)	4,441.2	44.6%

一方、純資産上位30位ファンドの中で、過去1年の騰落率が最も低かったのは、ピクテ・ジャパンの「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月)」で騰落率は0.6%でした。

純資産上位30位ファンドの中で過去1年の騰落率が最も低かった5本は次の通りです。5本中2本は、日本の債券に投資するタイプのファンドでした。

運用会社	ファンド名	純資産額（億円）	騰落率（1年）
ピクテ	ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月)	9,194.6	0.6%
三井住友DS	日興FW・日本債券ファンド	5,030.3	0.8%
大和	ダイワFW 日本債券セレクト	6,722.4	1.0%
One	新光 US-REIT オープン《ゼウス》	4,574.4	15.5%
フィデリティ	フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド	6,538.8	17.7%

騰落率（過去5年）−騰落率トップは「グローバルAIファンド」

また、過去5年の騰落率（年率）を見ると、純資産額上位30位までの投資信託の中で5年以上の運用実績があった27本のファンドのうち過去5年の騰落率（年率）がプラスだったのは25本でした。

過去5年の騰落率（年率）が最も高かったのは、三井住友DSアセットマネジメントの「’グローバルAIファンド」で、5年騰落率（年率）は24.5%でした。

純資産上位30位の投資信託の中で、過去5年の騰落率（年率）が最も高かったファンド5本は次の通りです。5本中2本はアライアンス・バーンスタインの「米国成長株投信」シリーズの為替ヘッジ無しのタイプのファンドでした。また、全てハイテク銘柄を中心とした成長株を投資対象とするファンドでした。

ランキング	運用会社	ファンド名	純資産額（億円）	騰落率（5年・年率）
1	三井住友DS	グローバルAIファンド	4,240.9	24.5%
2	ゴールドマン	netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(ヘッジ無)	8,767.0	23.2%
3	アライアンス	AB・米国成長株投信B(ヘッジ無)	9,108.4	22.3%
4	アライアンス	AB・米国成長株投信D毎月(ヘッジ無)予想分配金提示	21,859.7	22.1%
5	日興	グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回)	4,441.2	21.8%

純資産上位30位ファンドの投資対象

純資産額上位３0位までの投資信託の投資対象の分布を見ると、外国の株式に投資するファンドが21本と最も多く、日本の株式に投資するファンドと外国のREIT（不動産投資信託）に投資するファンドが各3本、日本の債券に投資するファンドが2本、外国の債券に投資するファンドが1本でした。

純資産上位30位までのファンドでは、引き続き海外の資産に投資するファンドが過半数を占めています。

純資産上位30位ファンドの分配頻度

純資産上位30位ファンドの分配頻度を見ると、年1回分配のファンドが20本と最も多くなっています。