MSCI、新たな日本株ファクター・モデルの提供を開始


グローバルな資産運用コミュニティーに重要な投資判断支援ツールとサービスを提供するリーディングプロバイダーMSCI は、2023年1月19日、次世代のMSCI日本株ファクター・モデル の提供を開始したことを発表した。

このモデルは、市場環境の変化に応じてポートフォリオのリスクとパフォーマンスを左右するファクターを投資家がより理解しやすくなるように設計されており、新たに追加された次の3つのファクターを特徴としている。

  • サステナビリティの分野ではESGファクターと、企業規模に応じた排出量を測定するカーボンエフィシェンシー・ファクターの両方を含む
  • クラウディングは複数の指標を用いて、銘柄が過去の株価動向と比較してどのように値付けされているかを評価
  • 機械学習はデータサイエンスと自然言語処理を活用し、株式のリターンに影響を与える様々な変数の相関を評価

 

MSCIによると、MSCIの50年にわたるファクターに関するリサーチを基盤として、世界有数の投資家との協働により開発された最新のモデルは、機関投資家が新たなファクターおよび既存のファクターを網羅したポートフォリオを構築し、業界の同業他社やベンチマークとの比較を行い、IPOの管理やカバレッジの改善、ダイナミックな業界エクスポージャーの分析を通じてポートフォリオの特性に対する透明性を強化できるようにする。

新たに導入されたのは、長期投資家向けの「MSCI日本株ファクター・モデル」と、より短い投資期間で戦略を運用する投資家向けの「MSCI日本株ファクタートレーディングモデル」の2つ。

MSCI日本株ファクター・モデルの新しい特徴は次の通りです。

  • 市場環境に基づき、極端なファクターリターンのファクター相関への影響を調節することで、ポートフォリオのリスク推計を改善するためのアダプティブファクター共分散マトリクス方法論
  • ポートフォリオのESGに対するエクスポージャーと、そのパフォーマンスへの影響を理解するためのESGファクターの追加
  • ネットゼロ投資を支援し、企業の炭素排出量が株式ポートフォリオのリスクとリターンにどのように影響を与えるかについて理解するためのカーボンエフィシェンシー・ファクターの追加
  • 機械学習、株式クラウディング、季節性の各ファクターを追加し、短期的なリスクの新たな原因を捕捉
  • 日経平均ボラティリティー・インデックス(NKVI)が示す将来予想を組み入れ、リスク推定を改善するために、ファクター共分散マトリクスにインプライドボラティリティを調整

 

この新たなモデルは、Snowflakeのデータクラウド、厳選されたパートナー企業、MSCI傘下のBarra Portfolio Manager及びBarraOne®プラットフォームを通じて直接提供するなど、複数のインターフェイスから利用可能。

MSCIの株式ポートフォリオ・マネジメント及び株式ファクターの統括責任者であるMark Carver氏は次のように述べている。

投資家の皆様から、これらのモデルにおける新たなリスク推定と持続可能性ファクターの導入が、進化する投資環境にとっては極めて重要である、とのご意見を繰り返しいただいています。私たちは、これらの革新的なモデルを日本のお客様にもご紹介できることを喜ばしく思っております。当モデルをご使用いただくことで、お客様がポートフォリオのリスクとリターンの要因をより良く理解すると共に、差別化されたポートフォリオを構築し、変化する市場力学に効果的に対応できるようになると信じています。