R&I、顧客本位の投信販売会社評価において三井住友信託銀行を「S」から「S+」に引き上げ


格付投資情報センター(R&I)は、顧客本位の投信販売会社評価において、三井住友信託銀行を「S」から「S+」に引き上げたと2021年6月18日に公表した。

「R&I 顧客本位の投信販売会社評価」は、銀行、証券会社などが、いかに投資信託の販売において「顧客本位の業務運営」を行っているか、その取組方針や取組状況を依頼に基づき、中立的な第三者の立場から評価するもの。投資信託の購入に際してアドバイスを必要としている個人投資家が販売会社を選ぶ際に、この評価を参考指標として利用することを想定している。

評価符号とその定義は以下の通り。

符号 定義
SS 顧客の最善の利益を図るための取組みが十分に行われており、非常に多くの優れた要素がある。
S 顧客の最善の利益を図るための取組みが行われており、多くの優れた要素がある。
A 顧客の最善の利益を図るための取組みが行われており、優れた要素がある。
B 顧客の最善の利益を図るための取組みが行われているが、改善すべき要素がある。
C 顧客の最善の利益を図るための取組みが不十分であり、改善すべき要素が多い。

(注)S と A については、上位評価に近いものにプラスの表示をし、それぞれ S+、A+と表 示することがある。プラスも符号の一部。

 

今回の三井住友信託銀行の評価の引き上げについて、格付投資情報センターは次のように述べている。

グループの中核会社としてグループ一体でFD(Fiduciary Duty)推進のために様々な施策に取り組んでい る。FD実践に必要となる高度な専門性や職業倫理を習得させるためのサポートが充実し ている点、業績評価では販売や収益項目を除外するなど優れた動機付けがなされている と認められる点などを評価し、「S」から「S+」に引き上げた。

また、評価のポイントは次の通り。

1.顧客本位の業務運営に係る方針等の策定・公表等

三井住友トラスト・ホールディングスの中核会社として経営層関与のもとグループ一体で顧客本位の業務運営(Fiduciary Duty:FD)の推進に取り組んでいる。また、 FD方針やその取組みを顧客に分かりやすく発信しようとする意識も高い。

2.顧客の最善の利益の追求

顧客に最善の利益を提供するために必要となる高度な専門性を従業員に習得させる各種研修や資格取得の支援制度は充実している。また、FD を企業文化として定着させ るために継続して多くの施策が講じられていると評価できる。

3.投信販売方針策定及び販売、レビュー

投信等の販売方針は明確であり、販売実績もその方針と一定程度合致している。本部から提供されるツール類や営業サポートなどを通じ、提案力向上のための優れた取 り組みも継続して実施していると認められる。

4.取扱投信の選定・モニタリング

新規に取り扱う投信の選定や、販売停止、モニタリングに関するプロセスや評価項目、基準は明確である。外部の評価情報も活用しており、引き続き定性・定量両面か ら適切に評価を行っていると認められる。

5.従業員に対する適切な動機づけの枠組み等

営業店、営業員とも業績評価から投信等に関する販売・収益項目が除外されているほか、FD 実践を評価する項目も設定している。FD・CS の観点で営業員を表彰する制 度も継続しており、営業員に適切な投信販売を実践させるための施策に継続して十分 に取り組んでいると評価できる。