インベスコ、第3回「インベスコ グローバル・ファクター・インベスティング・スタディ2018」の結果発表


インベスコは、2018年11月6日に第 3 回インベスコ グローバル・ファクター・インベスティング・スタディ(IGFIS 2018)を発表した。インベスコによると、今回のスタディでは、投資家のファクター投資への理解が深まり、ファクター投資 を行う上でのハードルとなっていた課題が解決される傾向にあることが明らかになった。ファクター投資の台頭が認識され、資産運用業界では投資戦略の第 3の柱としてファクターの効果を最大限活用するための対応が急速に進められており、機関投資家の半数(50%)、またリテール部門の3分の1(33%)が、ファクター投資を効果的に行う ために人材を採用している。

IGFIS2018 では、21カ国にまたがる、300 以上のリテール部門及び機関投資家(運用資産残高は計 19 兆米 ドル超)に定性・定量両面の調査を実施した。同調査からは、ファクター投資を行う際の課題として最もスコアの高かった「自社運用」のスコア(10 段階評価)が 1.8 ポイント減少するなど、過去 2 年間で改善がみられることが 分かる。加えて、ファクター理論の理解、社内関係者からの支持といったファクター投資に関する課題のスコアは、 同期間にすべて低下した。また、さらに新たな戦略を導入しているファクター投資経験者については、課題に関するスコアが、10〜15%ほど低くなっている。

インベスコ・アジア・パシフィックにてファクター投資担当ディレクターを務めるスティーブン・クアンス氏は、「ファクター投資は、 これまでの伝統的なアクティブ運用時価総額に基づいたパッシブ運用といった選択肢とは異なる『第 3 の柱』として認 識されるようになり、ファクター投資の進歩は資産運用業界における構造変化を反映していると言えます。リテール部 門及び機関投資家においては、ファクター投資は、ファクターに関する専門的な知識を有する人材を必要とする特殊 な分野であるとの認識が広まっています」と述べている。

インベスコによると、ファクター投資は、リターンを高めたい一方で、伝統的なアクティブ運用において特定のリスクを抑えたい投資家にとって 魅力的な投資手法。また、ファクター投資は、時価総額加重のパッシブ運用に対する超過リターンを追求することを目的としつつも、ダウンサイド・リスクを管理したい投資家にも適している。インベスコは、「投資家の目的達成やリスク管理といった ニーズに対応できる「最良」の戦略といえます」と述べている。

2017 年のインベスコ グローバル・ファクター・インベスティング・スタディでは、ファクター投資への配分が今後数年間で 増加し続けることが予想されたが、今回も、同じ見方ができるとインベスコでは考えています。今回のスタディによれば、投資家は 今後 3 年間でファクター投資への配分を増やすことが見込まれ、投資家全体の 5 分の3(機関投資家 64%、リテ ール部門 56%)が 2021 年までにファクター投資への配分を増やすと回答している。

グローバル投資家はファクター投資への配分を今後 3 年間で増やすことが見込まれるが、こうした動きはアジア太平 洋地域の投資家の間で、より顕著なものになっている。アジア太平洋地域の回答者の 4 分の3(77%)がファク ター投資の配分を増やす傾向にあると回答しており、これは欧州の 57%、および米国の 54%を上回る。投資家 による配分増加の理由は、第 1 に「パフォーマンスの良さ」、続いて「コスト効率の良さ」や「リスク削減」が挙げられる。

インベスコによると、本年の調査における比較的新しい発見としては、ポートフォリオに ESG の要素を組み込む目的でファクター投資を取り入れているという点。約半数(47%)の機関投資家は、ファクター投資戦略が ESG 目標に対応可能と考えており、約 3 分の1以上(38%)のリテール部門もその考えに同調している。ファクター投資戦略を活用することで ESG 課題に取り組めるという考えは、洗練された機関投資家の間ではより普及しており、60%の機関投資家がファク ター投資戦略に将来的な ESG の適用を見込んでいる。

第 3 回インベスコ グローバル・ファクター・インベスティング・スタディの要旨

  • 機関投資家の半数、およびリテール部門(金融機関等で個人投資家向けに金融商品を提供している 部門)の 3 分の 1 はファクター投資の専門家を運用チームに増員
  • 60%の投資家が、今後 3 年間でファクター投資の配分を増やす見込み
  • ファクター投資に最も積極的なのはアジア太平洋地域の機関投資家である一方、リテール部門では北米がトップ
  • アジア太平洋地域の投資家の 50%が債券でのファクター投資について「追加を検討」「採用中」または 「投資の継続を検討」と回答した一方、同じ質問に対するグローバルでの回答は 39%
  • アジア太平洋地域の投資家は個別口座を活用したファクター投資を選好しており、62%の回答者が 同手法での投資を実施したと回答